
<2025年5月に、内容を改訂しました。>New
新事業進出補助金とは
新事業進出補助金とは、企業の成⻑・拡⼤を通した⽣産性向上や賃上げを促すために、中⼩企業等が⾏う既存の事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出にかかる設備投資(建物構築費を含む)等を支援する大型補助金です。
①事業目的
・⼈⼿不⾜や賃上げといった昨今の経済社会の変化の中で、中⼩企業等が成⻑する 過程においては、既存事業の拡⼤に加え、新たな事業の柱となる新事業への挑戦が 重要となっています。
・既存事業と異なる事業への前向きな挑戦であって、新市場・⾼付加価値事業 への進出を後押しすることで、中⼩企業等が企業規模の拡⼤・付加価値向上を通じた⽣産性向上を図り、賃上げにつなげていくことを⽬的としています。
【活用イメージ】
・機械加工業でのノウハウを活かして、新たに半導体製造装置部品の製造に挑戦
・医療機器製造の技術を活かして蒸留所を建設し、ウイスキー製造業に進出
②対象企業
・企業の成長・拡大に向けた新規事業への挑戦を行う中小企業等
よくあるご質問1-8:経済産業省の補助金における中小企業の範囲とは
「資本金額」または「常勤従業員数」が以下の条件を満たす会社または個人が対象です。
資本金額 | 常勤従業員数 | |
製造業・ソフトウェア業 | 3億円以下 | 300人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
サービス業 | 5000万円以下 | 100人以下 |
小売業 | 5000万円以下 | 50人以下 |
ゴム製品製造業 | 3億円以下 | 900人以下 |
旅館業 | 5000万円以下 | 200人以下 |
③補助率・補助上限
・補助上限は下記のとおり、従業員規模により段階的に引き上げられます。
従業員数 | 補助金額 | 補助率 | |
下限 | 上限 | ||
~20人 | 750万円 | 2,500万円(3,000万円) | 1/2 |
21~50人 | 4,000万円(5,000万円) | ||
51~100人 | 5,500万円(7,000万円) | ||
101人 | 7,000万円(9,000万円) |
④要件
・以下の要件を満たす3~5年の事業計画に取り組むことが必要です。
①新事業進出要件:
「新事業進出指針」に示す「新事業進出」の定義に該当する事業であること(参考:よくあるご質問1-38)
②付加価値額要件:
付加価値額の年平均成長率を+4.0%以上増加させること
(参考:「付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費」)
③賃上げ要件【目標値未達の場合、補助金返還義務あり】:
1人あたり給与支給総額の年平均成長率が、事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上、または給与支給総額の年平均成長率+2.5%以上増加させること

④事業場内最賃水準要件【目標値未達の場合、補助金返還義務あり】:
毎年、事業所内最低賃金が補助事業実施場所都道府県における地域別最低賃金より30円以上高い水準であること
⑤ワークライフバランス要件:
次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表していること
⑥金融機関要件:
補助事業の実施にあたって金融機関等から資金提供を受ける場合、資金提供元の金融機関等から事業計画の確認を受けていること
⑦賃上げ特例要件【要件未達の場合、補助金返還義務あり】:
賃上げ特例の適用を受ける場合、補助事業実施期間内に、
(1)給与支給総額を年平均6.0%以上増加させること、かつ、
(2)事業場内最低賃金を年額50円以上引き上げること
よくあるご質問1-38:新事業進出指針に定める「新事業進出要件」とは
・以下の3点全てを満たす必要があります。
①製品等の新規性要件:
・自社にとって新たな製品・サービスであること
・補助事業に取り組む事業者にとっての新規性(第1回公募開始日・25年4月22日以降に初めて取り組んでいる事業)であり、日本初・世界初ではありません。但し、過去に製造したことがある製品等の再製造や製造方法の変更は要件を満たしません
・製品又はサービスの販売・宣伝に至る前の市場化調査等の段階であれば、過去に行っていても問題ありません
②市場の新規性要件:
・新たな顧客層・属性の市場に向けた事業であること
・既存の製品等の需要が新製品の需要で代替される場合や単に商圏が異なるものである場合は要件を満たしません
③新事業売上高要件:
・新事業の売上高が総売上高の10%以上、または付加価値額の15%以上になる計画
・応募申請時直近の売上高が10億円以上であり、かつ、新規事業進出を行う事業部門の売上高が3億円以上の場合は、当該事業部門の売上高または付加価値額で判断されます
詳しくは、中小企業庁の「新事業進出指針の手引き」(PDF外部リンク)をご参照ください。
⑤対象経費
・建物費(構築物費を含む)、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウド サービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費
※機械装置・システム構築費、または建物費、のいずれかが必ず補助対象経費に含まれる必要があります。
⑥申請から補助金支払までの流れ
- STEP1:申請受付開始→公募締切→審査交付候補者決定
- 受付は電子申請(GビズIDプライム必須)のみです。
- STEP2:交付申請→決定補助事業開始
- 交付決定日から14か月以内(ただし採択発表日から16か月以内)が事業実施期間です。
- STEP3:確定検査→補助額の確定→補助金の請求→補助金の支払い
- 中小企業基盤整備機構を通じて補助されます。
⑦申請内容の審査
・補助対象事業としての①適格性、②新市場性・高付加価値性、③有望度、④実現可能性、⑤公的補助の必要性、⑥政策面、⑦大規模賃上げ計画の妥当性(賃上げ特例希望者のみ)から審査され、またいくつかの加点項目があります。
・審査基準を満たした事業者の中から必要に応じて、15分程度の口頭審査(申請事業者自身によるオンライン形式)が行われます。内容は、事業の適格性、優位性、実現可能性、継続可能性等の観点についてです。
よくあるご質問1-39:新事業進出補助金の審査の観点とは
・書面審査においては、以下の7点を中心に審査が行われます。
①補助対象事業としての適格性:
・公募要領の記載要件を満たすか
・目標値の実現可能性が高い事業計画となっているか
②新市場性・高付加価値性:
・社会における一般的な普及度や認知度が低いものであるか(新市場性)
・高水準の高付加価値化・高価格化を図るものであるか(高付加価値性)
※「新市場性」と「高付加価値性」は選択制であり、どちらかを満たす必要があります。
詳しくは、中小企業庁の「新市場・高付加価値事業とは」(PDF外部リンク)をご参照ください。
③新規事業の有望度:
・継続的に売り上げ・利益を確保でき、参入可能な事業か
・自社に明確な優位性を確立する差別化が可能か
④実現可能性(資金、人材、スケジュール):
・事業化の遂行方法、スケジュールや課題解決方法が明確かつ妥当か
・財務状況や体制・経営資源から適切に事業が行えるか
⑤公的補助の必要性:
・国が補助する積極的な理由がある事業はより高く評価
・地域やサプライチェーンのイノベーションに貢献し得る事業か
⑥政策面との合致性:
・日本経済の構造転換を促すか
・経済成長・イノベーションを牽引し得るか
⑦大規模賃上げ計画の妥当性(賃上げ特例希望者のみ):
・大規模な賃上げ取り組み内容が妥当か
・継続的に利益の増加等を人件費に充当しているか
よくあるご質問1-40:新事業進出補助金の加点項目とは
以下の条件に該当する事業者は、書面審査時に加点が行われます。
①パートナーシップ構築宣言加点:「パートナーシップ構築宣言」ポータルサイトにおいて宣言を公表している事業者
②くるみん加点:次世代法に基づく認定(トライくるみん、くるみん又はプラチナくるみんのいずれかの認定)を受けた事業者
③えるぼし加点:女性活躍推進法に基づく認定(えるぼし1~3段階又はプラチナえるぼしのいずれかの認定)を受けた事業者
④アトツギ甲子園加点:アトツギ甲子園のピッチ大会に出場した事業者
⑤健康経営優良法人加点:令和6年度に健康経営優良法人に認定されている事業者
⑥技術情報管理認証制度加点:技術情報管理認証制度の認証を取得している事業者
⑦成長加速化マッチングサービス加点:成長加速マッチングサービスにおいて会員登録を行い、挑戦課題を登録している事業者
⑧再生事業者加点:中小企業活性化協議会等から支援を受けており、以下のいずれかに該当している事業者
・再生計画等を「策定中」の者
・再生計画等を「策定済」かつ応募締切日から遡って3年以内に再生計画等が成立等した者
⑨特定事業者加点:公募要領「2. 補助対象者(3)特定事業者の一部」(いわゆる中堅企業又は生活衛生同業組合など)に該当する事業者
⑧終了後の義務
・事業化状況報告 知的財産等報告が求められますが、収益納付は求められません。
・基本要件③(賃上げ要件)、④(事業場内最賃水準要件)、⑦(賃上げ特例要件)が未達の場合、未達成率に応じて補助金返還を求められます。ただし、(A)付加 価値が増加してない、かつ企業全体として営業利益が赤字の場合や、(B)天災など事業者の 責めに帰さない理由がある場合は返還を免除されます。
⑨スケジュール
・2025年度~2026年度の2年間で計4回公募があり、予算は約1500億円で約6000社の支援が予定されています(1件平均2500万円)。
・よって、1回当たり1500社の採択が予定されていますが、経済産業省によれば、毎回1万社程度の応募を見込んでおり、これを前提とすれば、採択率は15%となり、この制度の前身であるとされる事業再構築補助金の採択率(当初44~50%、最近でも25%程度)に比べ、狭き門になると予想されます。
第1回公募は以下のスケジュールです。
公募開始:4月22日(公募要項などの公表)
申請受付:6月中旬
申請締切:7月10日
採択発表:10月頃
交付申請締切日:採択発表日から2ヶ月以内
よって、事業着手できるのは年末になる見込みです。