<2024年4月に内容を改訂しました>New

(1)雇用調整助成金
経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた場合に、休業などによって、その労働者の雇用の維持を図る事業者に助成するものです。

(2)人材確保等支援助成金
雇用管理制度などの導入により、離職率が減少した事業者に対して助成するものです。

(3)人材開発支援助成金
事業主が雇用する労働者に対して、職務に関連した専門的な知識及び技能の習得をさせるための職業訓練等計画に沿って実施した場合に、講師謝金や受講料等の訓練経費のほか、訓練受講労働者に係る訓練期間中の賃金の一部を助成するものです。

(4)産業雇用安定助成金
新型コロナウイルス感染症の影響などで事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた事業主に、在籍出向などの雇用の維持や人材の円滑な受入れを支援するものです。

(1)雇用調整助成金

・経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた場合に、休業、教育訓練又は出向によって、その労働者の雇用の維持を図る事業者に助成するものです。
・コロナ特例の措置が順次見直され、24年4月からは、リスキリング強化や適正な支給のため、以下の見直しが実施されています。

1. 助成率と教育訓練加算の見直し
・在職者によるリスキリングを強化する観点から、24年4月から、休業よりも教育訓練による雇用調整を選択しやすくなっています。

<見直し前>
企業規模助成率教育訓練加算額
中小企業2/31200円
大企業1/2
<見直し後>
・累計の支給日数(注1)が30日に達した判定基礎期間までは、見直し前と同様です。
・累計の支給日数が30日に達した判定基礎期間の次の判定基礎期間からは次のとおりです。
教育訓練実施率(注2)企業規模助成率教育訓練加算額
~1/10中小企業1/21200円
大企業1/4
1/10~1/5中小企業2/3
大企業1/2
1/5~中小企業2/31800円
大企業1/2

注1)1の判定基礎期間の休業等の延日数を対象労働者で除した数
注2)休業等の延日数のうち、教育訓練を実施した日数の割合

2.提出べき書類の追加(能登地震に伴う特例を利用する事業者には適用されません)
・適正な支給のため、休業等に係る支給申請時に提出が必要な書類として、以下が追加されています。
①源泉徴収所得税の直近の納付が確認できる書類(写)<初回の判定基礎期間のみ>
②判定基礎期間における支給対象労働者全員分の源泉徴収簿<初回の判定基礎期間のみ>
③給与振り込みを確認できる書類(写)<初回を含むすべての判ていう基礎期間分>
・現金払いの場合は、会社名・金額・労働者の住所及び電話番号・受領日が明示され、労働者が直筆で氏名を記載した領収書

(2)人材確保等支援助成金

・雇用管理制度などの導入により、離職率が減少した事業者に対して助成するものです。コロナ禍で特に注目されている、「テレワークコース」をここでは紹介します。

①助成金の趣旨

・良質なテレワークを制度として導入し実施することにより、労働者の人材確保や雇用管理改善等の観点から効果をあげた中小企業に対して助成するものです。

②対象企業

・中小事業者のみです。
・21年12月から、テレワーク業務を、新規に導入する事業主のほか、試行的に導入している又は試行的に導入していた事業主も対象になりました。

③助成額

支給額
機器導入助成支給対象経費の30%
*以下のいずれかの低い方の金額が上限
・100万円又は20万円×対象労働者数
目標達成助成支給対象経費の20%
*以下のいずれかの低い方の金額が上限
・100万円又は20万円×対象労働者数
※生産性要件を満たした場合の割り増しは、23年3月31日で終了となりました。

<助成対象となる取り組み>
 ・就業規則、労働協約、労使協定の作成・変更
 ・外部専門家によるコンサルティング
 ・テレワーク用通信機器等の導入・運用(機器ごとに上限額があります。また、21年12月拡充され、一部のテレワーク用サービス利用料(35万円以内)も対象となりました。)
 ・労務管理担当者への研修
 ・労働者への研修

④要件

・テレワークに関する制度を規定した就業規則又は労働協約を整備すること
・テレワーク実施計画認定日以降、機器導入助成の申請日までに、助成対象となる取組み(機器導入など)を1つ以上行うこと
・評価期間(機器導入助成:計画認定から6か月以内の任意の連続する3か月)に1回以上対象労働者全員がテレワークを実施するか、評価期間(同)に対象労働者がテレワークを実施した回数が週平均1回以上であること
・「目標達成助成」は、評価期間(同)後12か月間の離職率が、計画提出前12か月間の離職率以下であること
・評価期間(目標達成助成:機器導入助成の評価期間の初日から12か月以内の任意の3か月)に、1回以上対象労働者全員(*)がテレワークを実施すること
*評価期間(機器導入助成)の初日から12か月の間の労働者数の変化で補正したもので計算します。

(3)人材開発支援助成金

①助成金の趣旨

・事業主が雇用する労働者に対して、職務に関連した専門的な知識及び技能の習得をさせるための職業訓練等計画に沿って実施した場合に、講師謝金や受講料等の訓練経費のほか、訓練受講労働者に係る訓練期間中の賃金の一部を助成するものです。
・2022年度から教育訓練付与コースに、短時間勤務制度導入が助成対象になるとともに、補正予算により、「人への投資促進コース」「事業展開等リスキリング支援コース」が創設・拡充されました。
・また、23年度から従来の①特定訓練コース、②一般訓練コース、③特別育成訓練コースが、「人材育成支援コース」に統合されます。
・例年、300から400億円が当初予算に計上されており(18~21年度)、執行率も7割前後で、安定的に助成されています。さらに、22年度補正予算により今後、3年間で4000億円の人への投資パッケージが創設され、提出書類も一部簡素化され、さらに使いやすくなっています。

イ.人材育成支援コース
・正規職員及び非正規職員に対して、OJT,OFF-JTを行う場合に助成する一般コースです。23年度から、従来の3つのコースが統合され、コース毎の手続きが不要となり、利用しやすくなっています(下記参照)。

ロ.教育訓練付与コース
・事業主以外が行う教育訓練等を受けるために必要な有給の休暇(年次有給休暇以外)を与え、または短時間勤務制度の導入を行い、自発的職業能力開発を受ける機会の確保を通じた職業能力開発及び向上を促進する場合に助成するコースです。

ハ.人への投資促進コース(2022~24年度の期間限定助成)
・社内のDX化を一層推進するため、①サブスクリプション型の定額訓練、高度デジタル人材訓練、③情報技術分野認定実習訓練、④自発的職業能力開発訓練、⑤長期教育訓練休暇等制度導入を行う場合に助成するコースです。
22年度補正予算により、①1事業所が1年度に受給できる助成限度額が1500万円から2500万円に引き上げ、②定額制訓練の経費助成率が中小企業60%、大企業45%(生産性要件を満たす場合は、ともにさらに15%アップ)に引き上げ、③自発的職業能力開発訓練の経費助成率が45%(生産性要件を満たす場合は、さらに15%アップ)、1事業所助成限度額を200万円から300万円に引上げ等の拡充がなされています。

二.事業展開等リスキリング支援コース
・新規事業の立ち上げなど事業展開に伴い、事業主が雇用する労働者に対して新たな分野で必要となる知識及び技能を習得させるための訓練を計画に沿って実施した場合に助成するコースです。

・以下は、23年4月以降の計画届の提出から利用できる「イ.人材育成支援コース」の概要です。
①人材育成訓練:職務に関連した知識や技能を習得させるためのOFF-JTを10時間以上行った場合に助成するものです。
②認定実習併用職業訓練:中核人材を育てるために実施するOJTとOFF-JTを組み合わせた訓練を行った場合に助成するものです。
③有期実習型訓練:有期契約労働者等の正社員化への転換を目的として実施するOJTとOFF-JTを組み合わせた訓練を行った場合に助成するものです。

訓練内容対象労働者訓練期間訓練時間経費助成率
()内は大企業
賃金助成
()内は大企業
OJT実施助成
()内は大企業
①人材育成訓練(OFF-JT)正規+非正規定めなし10時間以上正規:45%(30%)
非正規:60%
正社員化:70%
760(380)円/時・人
②認定実習併用職業訓練
(OJT+OFF-JT)
主に新入社員(正規+非正規)6か月以上2年以下1年あたりの時間数で850時間以上45%(30%)20(11)万円
③有期実習型訓練(OJT+OFF-JT)正社員転換を目指す者(非正規のみ)2カ月以上6カ月当たりの時間数で425時間以上60%
正社員化:70%
10(9)万円
なお、訓練開始日から起算して1か月前に、計画届を提出する必要があります。

ブログNo.31:2022年度補正予算で、人材開発支援助成金に、事業展開等リスキリング支援コース(仮称)が創設されました。
ブログNo.32:2022年度補正予算で、産業雇用安定助成金に、スキルアップ支援コース(仮称)が創設されました。

(4)産業雇用安定助成金

新型コロナウイルス感染症の影響などで事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた事業主に、在籍出向などの雇用の維持や人材の円滑な受入れを支援するものです。
ここでは、23年4月から創設された「事業再構築支援コース」を紹介します。

①助成金の趣旨

新型コロナウイルス感染症の影響などで事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた事業主が、新たな事業への進出等の事業再構築を行うために、当該事業再構築に必要な新たな人材の受入れを支援するものです。

②対象企業

中小企業以外も対象になりますが、以下のイからハの全てを満たす必要があります。

イ.23年4月1日以降に、中小企業庁が実施する「事業再構築補助金」の応募書類を提出し、交付決定を受けていること
但し、第10回公募(公募期間23年3月30日から6月30日)の「物価高騰対策・回復再生応援枠」及び「最低賃金枠」に限ります。また、実施計画に記載する「実施体制」の中に人材確保に関する事項(a.採用予定者の配属部署・役職名・部下の有無、b.採用予定者が従事する業務の内容・職種、c.採用予定者に求める資格・スキル・経験等)を記載した場合に限ります。
(参考)ブログNo.25:2022年度補正予算で、事業再構築補助金が抜本拡充されました。

ロ.対象労働者の雇入れに当たって、次のaからcのすべての条件を満たすこと
a.雇用保険の一般被保険者又は高年齢被保険者として雇入れること
b.期間の定めのない労働契約を締結する労働者(パートタイム労働者は除く)として雇入れること
c.「事業再構築補助金」の補助事業実施期間の初日から当該機関の末日までに雇入れること(事業再構築補助金の事前着手の承認を得ている場合は当該補助金に係る応募書類の提出日の翌日以降の雇入れが対象となります)

ハ.対象労働者の雇入れ日前6か月から本助成金の支給申請までの期間に、雇用する労働者を解雇等していないこと

③助成額

中小企業中小企業以外
助成額280万円/人※1
(140万円×2期※2)
200万円/人
(100万円×2期)
助成対象期間1年
※1:1事業主あたり5人までの支給に限ります
※2:雇入れから6か月を支給対象期の第1期、次の6か月を第2期として2回に分けて支給します。

④要件

助成対象労働者は、「事業再構築補助金」の交付決定を受けた事業に関する業務に就く者で、次のイとロに該当する者

イ.次のaかbのいずれかに該当する者
a.専門的知識や技術が必要となる企画・立案、指導(教育訓練等)の業務に従事する者
b.部下を指揮及び監督する業務に従事する者で、係長相当職以上の者

ロ.1年間に350万円以上の賃金が支払われる者※1
※1:時間外手当及び休日手当を除いた、毎月決まって支払われる基本給及び諸手当に限られます。また、助成金の支給は、支払われた賃金が175万円以上の支給対象期(6か月間)に限られます。

⑤手続き

助成対象労働者の第1期支給対象期の末日(雇入れから6か月後)の翌日から起算して2カ月以内に、支給申請書を都道府県労働局又はハローワークへ提出します。
補助金ではありませんので、助成要件が満たされていれば、支給申請書に基づき支給されます(第2期支給申請期間も同様です)。

ブログNo.25:2022年度補正予算で、事業再構築補助金が抜本拡充されました。

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