ものづくり補助金とは

ものづくり補助金とは、中小企業の思い切った設備投資を支援する補助金です。

①補助金の趣旨

正式名称は、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」といい、中小企業等による新商品・サービス開発、プロセス改善のための設備投資等を広く支援する通常枠と、海外展開やグリーン化、デジタル化などの政策課題への対応を支援する特別枠があります。

②対象企業

・中小企業(*)
・その他の法人(*)
2022年の第10回公募から、中小企業から中堅企業への成長途上にある企業を「特定事業者」として、対象に追加されました。

よくあるご質問1-8:経済産業省の補助金における中小企業の範囲とは

以下のどちらかを満たすことが対象です。

資本金額従業員数
製造業・ソフトウェア業3億円以下300人以下
卸売業1億円以下100人以下
サービス業5000万円以下100人以下
小売業5000万円以下50人以下
ゴム製品製造業3億円以下900人以下
旅館業5000万円以下200人以下
・ソフトウェア業、ゴム製品製造業、旅館業が、厚生労働省の中小企業の定義と少し異なっています。

よくあるご質問1-2:企業以外の対象法人とは(事業再構築補助金以外)

・収益事業を行い、確定申告を行っているNPO(認定NPO以外で、補助事業について経営力向上計画の認定が求められます)は対象になりますが、社団・財団法人、医療法人、学校法人、農事法人、任意団体、申請時点で開業していない開業予定者(開業届の開業日が申請日よりも後の場合)は、対象になりません。

よくあるご質問1-9:経済産業省の補助金における特定事業者とは(事業再構築補助金以外)

中小企業から中堅企業への成長途上にある特定事業者(以下の両方を満たすことが必要です)

資本金額従業員数
製造業、建設業、運輸業10億円未満500人以下
卸売業400人以下
サービス業、小売業(ソフトウェア、情報処理、旅館を除く)300人以下
その他業種(上記以外)500人以下
資本金額及び従業員数の両方を満たす事業者

③補助率・補助上限

・2023年の第14回公募から、従業員規模や特別枠により補助上限が750万円から5000万円に変化する形になりました(グローバル市場展開型以外)。

類型補助上限補助率
通常枠従業員数
5人以下750万円
6人~20人1000万円
21人以上1250万円
1/2、2/3(小規模・再生事業者)
回復賃上げ・雇用拡大枠2/3
デジタル枠
グリーン枠上記従業員数と類型により、
エントリー型(750、1000、1250万円)
スタンダード型(1000、1500、2000万円)
アドバンス型(2000、3000、4000万円)
グローバル市場開拓枠3000万円1/2、2/3(小規模事業者)

また、以下の要件をすべて満たす3~5年の事業計画を策定した場合の「大幅賃上げに係る補助上限の引き上げの特例」(下表)が設けられています。
①給与支給総額*を年率平均1.5%以上増加することに加え、更に年率4.5%(合計で年率6%)以上増加
②事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上にすることに加え、年額+45円増額
③応募時に、①及び②の達成に向けた具体的かつ詳細な事業計画(公募要領P34(7)及び様式4によるもの)
*給与支払総額とは、全従業員(非常勤を含む)及び役員に支払った給与等(給料、賃金、賞与及び役員報酬等は含み、福利厚生費、法定福利費や退職金は含みません)です。

補助上限の引き上げ額
従業員規模上乗せ補助額補助率
5人以下100万円以内各申請枠の補助率
6人~21人250万円以内
21人以上1000万円以内

但し、追加要件が未達の場合は、各申請枠の補助上限額との差額分については、補助金の返還が求められます。

④要件

・通常枠;3~5年以内に①付加価値3%/年以上の増加、②給与支払総額1.5%/年以上の増加、③毎年事業内最低賃金が地域別最低賃金よりも30円以上上回ること
・特別枠については、それぞれ要件(*)があります。

よくあるご質問1-10:ものづくり補助金の特別枠の要件とは(23年2月改訂)

①回復型賃上げ・雇用拡大枠:以下の全てを満たしていること
・前年度の事業年度の課税所得がゼロであること
・常時使用する従業員がいること
・補助事業を完了した事業年度の翌年度の3月末時点において、給与支払総額、事業内最低賃金の増加目標を達成すること

②デジタル枠:以下の全てを満たしていること
・(イ)DXに資する革新的な製品・サービスの開発、(ロ)デジタル技術を活用した生産プロセス・サービスの提供方法の改善、のいずれかに該当すること
・経済産業省が公開するDX推進指標を活用して自己診断を行い、その結果を応募締め切り日までに(独)情報処理推進機構に対して提出していること
・(独)情報処理推進機構が実施する「SECURITY ACTION」の「★一つ星」又は「★★二つ星」のいずれかの宣言を行っていること

③グリーン枠:以下の全てを満たしていること
・(イ)温室効果ガスの排出削減に資する革新的な製品・サービスの開発、(ロ)炭素生産性向上を伴う生産プロセス・サービスの提供方法の改善、のいずれかに該当すること
・3~5年の事業計画期間内に、事業場単位または会社全体で炭素生産性を年平均1%以上増加する事業であること
・これまでに自社で取り組んできた温室効果ガス削減の取組みの有無を示すこと
・各類型ごとに、以下の要件を満たすこと
1.エントリー型:①のいずれか1つを満たす。
2.スタンダード型:①の全てを満たし、②のいずれかを満たす②
3.アドバンス型:①を全て、②の2つ以上、③のいずれかを満たす。

温室効果ガス削減の取組み
エネルギー使用量及びCO2排出量の把握
電気、燃料の使用量の用途別把握
自社及び業界・産業全体での温室効果ガス削減に貢献する開発に取り組む製品・サービスへの取組み
再生可能エネルギーに係る電気メニューの選択
再生可能エネルギーの自社発電の導入
グリーン電力証書の購入実績
J-クレジット制度の活用実績
SBT若しくはRE100への参加
省エネ法の定期報告の評価において「Sクラス」に該当、若しくは、省エネルギー診断を受診


④グローバル市場開拓枠:以下の4つの類型のいずれかの一つの各条件を満たす投資であること
(イ)海外投資類型:国内事業と海外事業の双方を一体的に強化し、グローバルな製品・サービスの開発・提供体制を構築することで、国内拠点の生産性を高める投資であること
(ロ)海外市場開拓(JAPANブランド)類型:国内に補助事業実施場所を有し、製品等の販売先の2分の1以上が海外顧客となり、計画期間の補助事業の売上累計額が補助額を上回る事業計画を有していること
(ハ)インバウンド市場開拓類型:国内に補助事業実施場所を有し、サービス等の販売先の2分の1以上が訪日外国人となり、計画期間中の補助事業の売上類型額が補助額を上回る事業計画を有していること
(二)海外事業者との共同事業類型:国内に補助事業実施場所を有し、外国法人と行う共同研究・共同事業開発に伴う設備投資等であり、その成果物の権利(の一部)が補助事業者に帰属すること

⑤手続き

・例年、年に4回3か月毎に募集があります。
・第14回は、23年4月19日に応募が締め切られ、23年度は、順次、第15から17回が公募されると見込まれます。
・GビズIDによる電子申請のみでの申請となります。
・認定経営革新等支援機関や専門家の支援(支援を受けるかは任意ですが、支援を受けている場合は支援者の名称、報酬、契約期間を明記する必要があります)を受けて、A4で10枚程度の事業計画書に関係資料を添付して申請となります。
・採択後交付申請を行い、事業実施期間は、交付決定10か月以内、グローバル市場開拓枠は12か月以内となります。
・完了報告・対象経費のチェックの後、補助金が振り込まれます。

⑥申請内容の審査

・補助対象事業としての適格性、技術面、事業化面、政策面から審査されます。
政長性加点、政策加点、災害等加点、賃上げ加点等があります。

よくあるご質問1-11:ものづくり補助金の審査の観点とは(23年2月改訂)

ものづくり補助金は、以下の
1.補助対象事業としての適格性
2.技術面
3.事業化面
4.政策面
5.炭素生産性向上の妥当性(グリーン枠のみ)
6.グローバル市場開拓枠の取組みの妥当性(グローバル市場開拓枠のみ)
について、審査が行われます。

1. 補助対象事業としての適格性
・3から5年計画で「付加価値額」年率3%以上の増加等を達成する取組であるか、また各特別枠については、それぞれの要件(よくあるご質問1-10:ものづくり補助金の特別枠の要件とは)を満たす取り組みであるか。

2. 技術面
① 新製品・新サービスの革新的な開発となっているか(「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」または「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」に沿った取り組みであるか)。
「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」は、サービス業の9割以上を占める中小企業の皆様に、経営課題を解決する際の参考にしていただくことを期待して、取り組みの方向性や具体的手法等をご紹介するもので、2015年年度に改定されています。
(外部リンク:https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/shinpou/2021/210305shinpou03.pdf
「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」は、ものづくり基盤技術12分野、先端技術を活用した高度サービス分野等の取り組みの方向性について具体的に示したもので、2019年度に改定されています。
(外部リンク:https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/sapoin/shishin.html
② 試作品・サービスモデル等の開発における課題が明確になっているとともに、補助事業の達成度の考え方を明確に設定しているか。
③ 課題の解決方法が明確であり、優位性が見込まれるか。
④ 補助事業実施のための技術的能力が備わっているか。

3. 事業化面
① 補助事業実施のための社内外の体制や最近の財務状況から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか(金融機関等から十分な資金調達が見込まれるか)。
② 事業化に向けて、市場ニーズを考慮するとともに、ユーザー、マーケット及び市場規模が明確か、また、クラウドファンディング等を活用し、そのニーズの有無を検証できているか。
③ 補助事業の成果が価格的・性能的に、優位性や収益性を有し、事業化に至るまでの遂行方法・スケジュールが妥当か。
④ 補助事業としての費用対効果が高いか。

4. 政策面
① 地域の特性を生かして、地域の経済成長をけん引する事業となることが期待できるか(地域未来牽引企業等は審査で考慮されます)。
② ニッチ分野において、グローバル市場でもトップを築く潜在性を有しているか。
③ 異分野や共同連携、事業承継を契機とした取り組みであるか。
④ 先端的なデジタルの活用、低炭素化技術の活用、新しいビジネスモデルの構築等を通じて、我が国のイノベーションをけん引しうるか。
⑤ ウイズコロナ・ポストコロナに向けた経済構造の転換、あるいは、成長と分配の好循環を実現させるために、有効な投資内容となっているか。

5. 炭素生産性向上の妥当性(グリーン枠のみ。様式3を元に審査されます。)
① 炭素生産性を向上させるための課題が明確となっており、温室効果ガスの排出削減等に有効な投資となっているか。
② 取組内容が具体的に示されており、その算出根拠、効果が妥当か。
③ なかでも設備投資の効果が定量的に示されており、その算出効果が妥当なものか。
④ 継続的取り組みが実施されているか。

6.グローバル市場開拓枠の取組みの妥当性(グローバル市場開拓枠のみ。事業計画書を元に審査されます。)
①海外展開などに必要な実施体制や計画が明記されているか。また、グローバル市場開拓に係る専門性を申請者又は外部専門家の関与により有しているか。
②事前の十分な市場調査分析を行った上で、国際競争力の高い製品・サービス開発となっているか。
③国内の地域経済に寄与するものであるか。
④ブランディング・プロモーション等の具体的なマーケティング戦略が議業計画書に含まれているか。

よくあるご質問1-12:ものづくり補助金の加点項目とは(23年2月改訂)

① 成長性加点:有効な期間の経営革新計画の承認を取得した事業者

② 政策加点
 -1:「創業・第二創業後間もない事業者(5年以内)」
 -2:「パートナーシップ構築宣言を行っている事業者」
 -3:再生事業者
 -4:デジタル技術の活用及びDX推進の取組み事業者(デジタル枠のみ)
 -5:令和4年度に健康優良法人に認定された事業者
 -6:J-Start-up(地域版を含む)に認定された事業者
 -7:「新規輸出1万者支援プログラム」に登録した事業者(グローバル市場開拓枠のJAPANブランド類型のみ)

③ 災害等加点:有効な期間の事業継続力強化計画の認定を取得した事業者

④ 賃上げ加点:以下のいずれかの事業者
 -1:事業計画期間内に、給与支払総額を年率平均2%以上増加させ、かつ、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+60円以上の水準にする計画を有し、事務局に誓約書を提出している事業者
 -2:給与支払総額を年率平均3%以上増加させ、かつ、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+90円以上の水準にする計画を有し、事務局に誓約書を提出している事業者
 -3:社会保険の適用拡大の対象となる中小企業が制度改革に先立ち任意適用に取り組む場合

<減点項目>
 応募締切日から3年間に、ものづくり補助金の交付決定を1回受けている場合(過去3年間に、既に2回以上交付決定を受けた事業者は申請対象外となります)
 回復型賃上げ・雇用拡大枠において、繰越欠損金によって課税所得が控除されることで申請要件を満たしている場合

⑦補助対象経費

・機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産等関連経費、海外旅費、通訳・翻訳費、広告宣伝・販売促進費
・技術導入費及び知的財産等関連経費は、それぞれ補助対象経費(税抜き)の1/3を限度とし、専門家経費及び外注費は、同1/2を限度とします。また、海外旅費はグローバル市場展開型のみで認められ、同1/5が限度となり、通訳・翻訳費、広告宣伝・販売促進費は、そのうちの海外市場開拓(JAPANブランド)類型のみで認められ、同1/2が限度となります。

⑧終了後の義務

・補助事業の完了したときは、30日後に、「補助事業実績報告書」の提出が必要です。
・また、補助事業の終了後5年間にわたり、毎会計年度終了後60日以内に、本補助事業に係る事業化状況等の報告が必要です
・事業内最低賃金の確認のため、賃金台帳の提出や補助事業関係書類は、事業終了後5年間保存が求められます。
・事業化状況の報告から、本事業の成果の事業化等で収益が得られたと認められる場合は、収益納付が求められます。

外部リンク:https://portal.monodukuri-hojo.jp/

ブログNo.4:ものづくり補助金の過去の採択率等のデータを読み解く(23年2月改訂)
ブログNo.5:ものづくり補助金の活用のポイント
ブログNo.6:第1次から9次までの、ものづくり補助金における、賃上げ加点の活用の状況

ブログNo.26:2022年補正予算で、ものづくり補助金が、使いやすい形で拡充されました。
ブログNo.33:最近のものづくり補助金の申請・採択状況

▲ページトップへ戻る