なりわい再建支援補助金

中小企業特定施設等災害復旧費補助金(なりわい再建支援補助金)とは

中小企業特定施設等災害復旧費補助金(なりわい再建支援補助金)とは、2011年の東日本大震災・原発事故の被災事業者の支援のために作られた、中小企業グループ補助金からスタートしたものです。
2024年1月1日に発生した能登半島地震に対しても、このなりわい再建補助金が適用されており、以下にその内容を紹介します。

よくあるご質問1-19:中小企業グループ補助金からなりわい再建支援補助金への経緯について

2011年の東日本大震災の地震津波・原発災害で多くの事業者が被災をしました。その復旧を支援する「中小企業グループ補助金」は、災害の面的な被害の大きさ及び地域経済への影響の甚大さから、①私有事業資産の再建にまで補助、②設備だけではなく建屋も補助対象、③上限15億円かつ補助率4分の3(うち2分の1が国負担、4分の1が県負担)という、前例のない制度でした。

その後、2016年の熊本地震、2018年の西日本豪雨、2019の台風 19 号等、でも実施され、いくつかの制度改善がなされてきましたが、2020年の球磨川流域豪雨災害から、「面的な被害の大きさ」を立証するためのグループの組成という要件が各都道府県の策定する復興事業計画への準拠に緩和され、「なりわい再建支援補助金」への改組という形で、より迅速な補助金交付ができるようになっています。

さらに、球磨川流域豪雨災害だけでなく、2021、22年の福島県沖地震においては、過去災害からの復興途上にあるなど、一定要件を満たす被災事業者には、一定額まで定額補助(100%補助)が実施されるようになっています。

東日本大震災グループ補助金は、2022年12月時点で、737グループ(うち福島県は263グループ)が認定され、補助金は、11,877件(同3973件)、5341億円(同2823億円)が交付決定されており、24年度も、第33、34次公募が行われています。補助金1件当たりの単純平均交付額は、約4500万円(同3200万円)となっています。

①補助金の趣旨

2024年能登半島地震の影響で、損壊・使用困難となった建物・設備を復旧する(元に戻す)ための補助金です(補助対象経費は、地震発災日(2024年1月1日)以降において遡及適用されます)。
修繕・修理が原則ですが、以下の場合、建替えや入替が可能です。
 建物:全壊・大規模半壊の場合。修繕よりも建替えが安い場合。
 設備:修理不能の証明書の発行がある場合。修理よりも入替が安い場合。
元ある場所での建替えが原則ですが、その場所では建替えができない理由があれば(河川拡幅工事、集団移転、液状化に伴う建築制限等)、移転も補助対象です(同一県内に限ります)。

②対象企業

補助対象地域:⽯川県(A類型)富⼭県(B類型)福井県、新潟県(C類型)
※被災事業所の所在地域で判断されますので、本社所在地は関係ありません。
補助対象者:中⼩・⼩規模企業・個人事業者等(※特定事業者等を含む)
※特定事業者とは:中⼩企業者以外の企業のうち、資本⾦が10億円未満のもの(中堅企業及びみなし中堅企業)

よくあるご質問1-1:小規模企業とは

以下の条件を満たす企業を指します。

商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く)常時使用する従業員の数 5人以下
サービス業のうち宿泊業・娯楽業常時使用する従業員の数 20人以下
製造業その他常時使用する従業員の数 20人以下
業種は、日本標準産業分類ではなく、営む事業の内容と実態から判断します。

よくあるご質問1-8:経済産業省の補助金における中小企業の範囲とは

以下のどちらかを満たすことが対象です。

資本金額従業員数
製造業・ソフトウェア業3億円以下300人以下
卸売業1億円以下100人以下
サービス業5000万円以下100人以下
小売業5000万円以下50人以下
ゴム製品製造業3億円以下900人以下
旅館業5000万円以下200人以下
・ソフトウェア業、ゴム製品製造業、旅館業が、厚生労働省の中小企業の定義と少し異なっています。

補助対象事業者の区分
区分補助対象事業者詳細
中⼩企業者(⼩規模事業者、個⼈事業主含む)中⼩企業⽀援法第2条の定義に該当する事業者等(みなし⼤企業・みなし中堅企業は除く)
特定事業者(中堅企業及びみなし中堅企業)①以外で資本⾦⼜は出資⾦の価額が10億円未満の事業者等(みなし⼤企業は除く)
①及び②以外の企業(⼤企業及びみなし⼤企業)原則、補助対象外ただし、⽯川県のみ、①が事業活動を⾏う上で必要な施設・設備を貸付している事業者は対象
よくあるご質問1-20:みなし大企業、みなし中堅企業とは

「みなし⼤企業」の定義は以下のいずれかに該当する企業です(大企業とは、資本金10億円以上の企業です)。
(1)発⾏済み株式の総数⼜は出資価額の総額の1/2以上を同⼀の⼤企業が所有している事業者
(2)発⾏済み株式の総数⼜は出資価額の総額の2/3以上を複数の⼤企業が所有している事業者
(3)⼤企業の役員⼜は職員を兼ねている者が役員総数の1/2以上を占める事業者
「みなし中堅企業」も同様です(中堅企業とは、中小企業以外で資本金10億円未満の企業です)。


なりわい再建支援補助金は、他の補助金に比べ補助対象事業者が広くなっています。
次に該当する事業者も補助対象となります(従業員等の法⼈の規模等により、補助の対象とならない場合があります)。
個⼈事業主(農家や漁業者、開業医を含む)
⼠業法⼈(弁護⼠法⼈,監査法⼈,税理⼠法⼈,⾏政書⼠法⼈等),農業法⼈,農業協同組合,漁業協同組合,農事組合法⼈,信⽤協同組合,医療法⼈,信⽤⾦庫,公益財団法⼈,⼀般財団法⼈,公益社団法⼈,⼀般社団法⼈,NPO法⼈,第3セクター,社会福祉法⼈,学校法⼈,共済組合,消費⽣活協同組合,森林組合等
⾃治体、任意団体、宗教法⼈は補助対象外となります。

次に該当する事業者は補助対象外となります。
暴⼒団⼜は暴⼒団員等
県税を未納の者
⾵俗営業等事業者※ただし、第2条第1項第1号の⼀部(料理店)、第5号(ゲームセンター)は補助対象となります。

よくあるご質問1-21:資産計上されていない施設、設備も対象となりますか?(なりわい再建支援補助金)

資産計上されない施設・設備は原則として補助対象となりません。ただし、資産計上されていない施設や設備であっても、売買契約書、購⼊業者やメンテナンス業者からの証明等(第三者による客観的な証明ができるもの)により、被災前に所有していたこと、及び業務⽤のみに⽤いていたことなどが証明できれば、補助の対象となる場合があります。
資産計上されていない施設・設備がある場合には、個別にご相談ください。
なお、補助⾦により復旧した施設・設備については、原則として、復旧後に資産計上していただく必要があります。
償却資産として資産計上されていないもの(備品、什器、在庫品など)は補助対象になりません。

③補助率・補助上限

補助率:3/4 ⼜は※⼀部定額
特定事業者等については、1/2 ⼜は※⼀部定額

補助上限額:15億円(A類型)、3億円(B・C類型)
複数の事業所が被災された場合もその合計額(県をまたぐ場合を含む)で判断されます。

※要件を満たす場合は、A類型は5億円、B・C類型は1億円まで定額補助

受取保険金の扱い

本事業で復旧等を⾏う施設・設備について受領する保険・共済⾦がある場合、まず、復旧等に係る補助対象経費の内の⾃⼰負担分に充当することになります。
補助⾦の⾃⼰負担分を超える受取保険・共済⾦がある場合には、超える部分の保険・共済⾦額の半額を補助⾦額から控除し、その残りの額が補助⾦額となります。

④要件

<全般的要件>
イ.被災したことの証明(市町村が発行する被災証明書等)が必要です。
ロ.県の策定する「復興事業計画」の①地域資源産業型、②商店街型、③経済雇用貢献型、④地域生活・産業基盤型、⑤サプライチェーン型のいずれかに該当する必要があります(その該当は県が判断します)。
ハ.取得した施設・設備は、保険又は共済に加入する必要があります(小規模企業は推奨)
二.事業完了時点で事業継続力強化計画等を策定したことが確認されます。
ホ.交付決定された場合は、事業者名などが公表されます。

<定額補助の要件>
以下のイ〜ホのいずれも満たすことが求められます。
イ.新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者
ロ.過去数年以内に発⽣した災害で被害を受けた以下のいずれにも該当する事業者
(イ)当該災害による事業⽤資産への被災が証明できる事業者
(ロ)当該災害からの復旧・復興に向けて国等が実施した⽀援を活⽤した事業者
ハ.次のいずれかに該当する事業者
(イ)過去数年以内に発⽣した災害の発⽣⽇(当該発⽣⽇が新型コロナウイルス感染症発⽣以降の災害にあっては、新型コロナウイルス感染症の指定⽇)以降、売上⾼が20%以上減少している事業者
(ロ)令和6年能登半島地震発⽣時において厳しい債務状況にあり、かつ、交付申請時において経営再建等に取り組み、かつ、(※)認定経営⾰新等⽀援機関に事業計画等について確認を受けている事業者
二.交付申請時において、過去数年以内に発⽣した災害からの復旧⼜は復興に向けた事業活動に要した債務を抱えている事業者
ホ.令和6年能登半島地震により、施設⼜は設備が被災し、その復旧⼜は復興を⾏おうとする者

よくあるご質問3-9:(※)認定経営革新等支援機関とは

中小企業を巡る経営課題が多様化・複雑化する中、中小企業支援を行う支援事業の担い手の多様化・活性化を図るため、平成24年8月30日に「中小企業経営力強化支援法」(現在の「中小企業等経営強化法」)が施行され、中小企業に対して専門性の高い支援事業を行う経営革新等支援機関を認定する制度が創設されました。
 認定制度は、税務、金融及び企業財務に関する専門的知識や支援に係る実務経験が一定レベル以上の個人、法人、中小企業支援機関等を経営革新等支援機関として認定することにより、中小企業に対して専門性の高い支援を行うための体制を整備するものです。
コンサルタント、行政書士等が、認定を受けるためには、原則、中小企業大学校で、理論研修(4カ月にわたり約120時間)、実践研修(2日にわたり約12時間)を受講し、研修の最後の判定試験に合格する必要があります。
私の合格体験記は、ブログNo40を参照ください。

手続き

原則、以下のとおりの流れとなります。
1.県へ「なりわい再建支援補助金交付申請書」を提出(※)
2.申請者へ「補助金交付決定」の通知
3.事業実施(復旧工事の完了)
4.県へ「補助事業実績報告書」の提出
5.補助事業の完了確認検査、補助金額の確定
6.申請者への補助金の「交付決定額通知」の送付
7.県への「補助金請求書」の提出
8.申請者への補助金の交付(精算払い。4.から概ね2ヵ月後)

補助金は精算払い(後払い)が原則になりますので、つなぎ資金を検討することが必要です。
但し、施設(建屋単位)や設備(機械単位)の工事が完了し、供用している場合は、1回に限り概算払いを請求できます。その支払いには2カ月程度を要します。

よくあるご質問1-22:(※)申請時に必要となる書類とは(なりわい再建支援補助金)

補助金交付申請時の主な必要書類は次のとおりです(石川県の例)。

提出書類備考
補助金交付申請書、補助事業計画書-
商業登記簿又は住民票-
県税の未納がないことの証明書各県税事務所の窓口で取得してください
財務諸表(直近1年分)貸借対照表及び損益計算書
確定申告書の写し収支計算書等
見積書一覧表(施設・設備それぞれ別に作成)
被災を受けたことが分かる書類(罹災証明書等)及び被災写真-
償却資産の所有者を確認する書類名寄帳兼課税台帳、償却資産台帳等
施設・設備の復旧に係る見積書の写し原則2者以上
見積書不足理由申立書(2者以上ない場合)
施設・設備の位置図及び敷地内配置図等-
10新施設の位置図、敷地内配置図、用途、構造、面積のわかる詳細図建替えを行う場合
11設備の入替を行う場合は、修理不能であることの証明書、設備比較証明書県ホームページに様式等を掲載
その他の必要な書類については、補助金交付申請用チェックリストを参考に、もれなく提出してください。

申請内容の審査・スケジュール

本補助金は、他の補助金と異なり、要件が満たされれば必ず交付されます。
しかも、地震発生時に遡って費用が対象となりますので(但し、復旧前の写真などは必要となります)、申請を急ぐことなく、事業計画をしっかり検討することが重要です。先着順で採択されるものではありません。
複数年にわたり公募されますので、現在の公募締め切りを過ぎても、次回公募が開始されます。

よくあるご質問1-23:石川県の公募状況はどうなっていますか

石川県の場合、24年3月27日に第一次交付決定(6件、5.4億円)、5月10日に第二次交付決定(11件、1.6億万円)が公表されており、現在、第3次公募が行われています。
2025年1月17日までに復旧事業を完了する必要があるとされていますが、完了しないと見込まれる場合は、県にご相談ください(過去のなりわい再建補助金では、完了期限の延長などが行われています)。
また、第3次公募以降も、随時公募が行われる予定です。

よくあるご質問1-24:富山県の公募状況はどうなっていますか

富山県の場合、24年4月11日に第一次交付決定(38件、1.3億円)が公表されており、現在第3次公募(5月20日から6月7日まで)が行われており、第4次は6月末からとされています。

補助対象経費

施設・・・倉庫、⽣産施設、加⼯施設、販売施設、検査施設、共同作業場、原材料置場、その他当該補助事業の目的の範囲内で、復興事業計画の実施に不可欠と認められる施設
設備・・・復興事業の⽤に供する設備であって、⾃らの資産として計上するもの
これらの「施設」及び「設備」復旧整備等の内容によっては、移転設置費、取り壊し・撤去費(現地建替えに限ります)、整地費・排土費も補助対象になります。
なお、被災状況の前調査費、事前点検費、消費税及びリサイクル料金は補助対象外となっています。
また、仮設店舗や応急処置など、仮復旧費は対象となりません(応急措置は、持続化補助金の災害支援枠が活用できます)。

よくあるご質問1-25:施設、設備の所有者以外が修繕等を⾏った場合、修繕を⾏った者が補助対象事業者となりますか︖(なりわい再建支援補助金)

補助対象事業者は、必ず所有者となります。
このため、所有者以外の者が修繕等を⾏っても、補助対象事業者は所有者となります。この場合、原則として、所有者(例えば、大家)がその修繕等費⽤を、修繕等を⾏った者(例えば、店子)に対して⽀払ったことが確認できれば、所有者に対して補助⾦を⽀払うことになります。

よくあるご質問1-26:リース物件の取扱いについて(なりわい再建支援補助金)

使⽤者⾃⾝が所有者ではないため、使⽤者⾃⾝で補助⾦交付申請はできません。
しかし、当該リース物件が使⽤者の事業継続に必要不可⽋と判断される場合には、対象とすることができます。この場合、補助⾦交付申請はリース事業者が⾏うことになります。
※リース契約内容を、被災前の内容から変更して契約する場合は、補助対象とならない場合があります。
なお、所有者(補助⾦申請者)に対して、財産処分の制限が課せられますので、当該リース物件の使⽤者の変更や譲渡、⽬的外使⽤を⾏う場合は、事前の⼿続きが必要となります。この場合、原則として補助⾦相当分の返納が⽣じることとなります。

よくあるご質問1-27:賃貸物件の取扱いについて(なりわい再建支援補助金)

貸付物件は原則として補助対象となりません。
ただし、被災時に「①中⼩企業者等」、「②中堅企業及びみなし中堅企業等」の事業⽤として貸付していた施設・設備で、①及び②の事業者が当該貸付物件を復旧後も継続して事業の⽤に供する場合には例外的に補助対象となります。
この場合、原則として、被災当時の⼤家が補助対象事業者となりますが、令和6年能登半島地震災害後に⼤家が変わった賃貸物件についても、店⼦の事業再開に不可⽋な場合には、その範囲内に限り、新たな⼤家の賃貸物件も補助対象となります。

新分野事業の取扱い

原則、なりわい補助⾦で補助対象になるのは、中⼩企業者等が⾃ら保有、資産計上している、事業の⽤に供する施設・設備の原状回復に要する経費です。
ただし、従前の施設等の原状回復では、事業再開や継続、売上回復が困難な事業者は、新分野需要開拓等を⾒据えた新たな取組(「新分野事業」)による施設等の整備費⽤も補助対象となります。
その際、従前の施設等の復旧に代えて、原状回復に要する経費を上限として、新分野事業に係る施設・設備の整備に要する経費が補助対象とすることが可能です。
この場合、認定経営革新等支援機関(※)の確認が必要となります。

よくあるご質問3-9:(※)認定経営革新等支援機関とは

中小企業を巡る経営課題が多様化・複雑化する中、中小企業支援を行う支援事業の担い手の多様化・活性化を図るため、平成24年8月30日に「中小企業経営力強化支援法」(現在の「中小企業等経営強化法」)が施行され、中小企業に対して専門性の高い支援事業を行う経営革新等支援機関を認定する制度が創設されました。
 認定制度は、税務、金融及び企業財務に関する専門的知識や支援に係る実務経験が一定レベル以上の個人、法人、中小企業支援機関等を経営革新等支援機関として認定することにより、中小企業に対して専門性の高い支援を行うための体制を整備するものです。
コンサルタント、行政書士等が、認定を受けるためには、原則、中小企業大学校で、理論研修(4カ月にわたり約120時間)、実践研修(2日にわたり約12時間)を受講し、研修の最後の判定試験に合格する必要があります。
私の合格体験記は、ブログNo40を参照ください。

関連ページ:
中小・小規模事業者の事業再開支援事業(事業再開補助金)
福島県創業促進・企業誘致に向けた設備投資等支援補助金(創業補助金)

よくあるご質問1-28:全損に伴い性能等が向上したものへの買替えを認める事 例がありますか︖(なりわい再建支援補助金)

原状回復に要する費⽤を上限として、原状回復を超える性能向上(※)に資するような機能付加・拡充を図ることも可能です。この場合、実際に⾏う⼯事等とは別に、原状回復⼯事の⾒積書の提出が必要となります。
(※)機械などが仕事をなしうる能⼒が向上すること
例︓需要開拓のための増産体制への対応や利益率向上等を⽬指し、同じ⼈員で毎時 1,000個製造できる設備から毎時1,500個製造できる設備への更新や、毎時の製造個数は変わらないが⼈員が少なくて済むなど、⽣産性向上につながる設備の導⼊などの取組
ただし、原状回復に必要な経費に補助率(3/4以内または1/2以内)を乗じた額が上限です。

よくあるご質問1-29:復旧にあたって新分野への展開や事業転換を⾏うための施設・設備を整備できますか︖(なりわい再建支援補助金)

新分野事業であれば、認められる可能性があります。
①新商品製造ラインへの転換>例︓被災前に製造していなかった商品を新たに製造するために、従前の設備への復旧等に代えて、新たな設備を整備する取組
②従業員確保のための宿舎整備>例︓新分野事業における新たな取組みを⾏うに際して、宿舎整備による従業員確保が必要である場合、被災した従前の施設等の復旧に代えて新たな宿舎整備を⾏う取組
③異業種への展開事例>例︓旅館業を営んでいたが、⾵評被害により観光客が減少し、従前の事業施設の復旧では売上の回復が困難なことから、地域産品を使った商品を開発した上で、その製造を⾏う⼯場を新分野事業として整備することにより、販路拡⼤による売上回復を図る取組

汎用性のある設備、機器の取扱い

資産計上されており、被災前に所有していたこと及び業務⽤のみに⽤いていたことなどが証明できれば、補助対象となることがあります。
※ただし、業務外利⽤の可能性があるものについては、補助対象となりません。※ソフトウェア等は対象となりません。

車両の取扱い

資産計上されており、被災前に所有していたこと及び外形的に業務上使⽤されていることが明確であれば(企業名が⾞体に印刷されている等)、補助対象となることがあります。
※ただし、業務外利⽤の可能性があるものについては、補助対象となりません。※業務外での使⽤が確認された場合は、補助⾦交付後であっても補助⾦相当額の返納が求められます。

⑧終了後の義務

全ての補助事業(施設・設備の復旧整備)が終了し、全ての支払いが終わった日から15日以内、又は、別に県が指定する日(25年1月17日)のいずれかの早い日までに、実績報告書を提出する必要があります。
実績報告書の審査終了後概ね2ヵ月程度で補助金が支払われます。
なりわい再建⽀援補助⾦をはじめとした補助⾦で整備した施設・設備(取得価額50万円以上のもの)は、⼀定の期間(※)、補助⽬的(補助⾦を申請したときの⽤途)のとおり使⽤しなくてはなりません。
本事業で復旧(取得や修繕)を⾏った施設や設備等の財産を別の⽬的で使⽤したり、譲渡、貸付、取壊し、廃棄、担保権の設定等の処分を⾏う場合は、事前に知事の承認が必要となります。
これら財産の処分の承認の際には、原則、補助⾦相当分の返納が求められます。
(※)⼀定の期間とは・・・施設や設備の内容に応じて定められており、これを処分制限期間といいます。

よくあるご質問1-30:処分制限期間の例は(なりわい再建支援補助金)

1.施設(主なもの)
(1)鉄筋コンクリート造事務所50年、店舗39年、⼯場38年
(2)⾦属造(⾻格材4㎜超)事務所38年、店舗34年、⼯場・倉庫20年
(3)⽊造事務所24年、店舗22年、など
2.機械・装置(主なもの)
 ⾷料品製造業⽤設備10年、⾦属製品製造業⽤設備10年、道路貨物運送業⽤設備12年、など
3.⾞両及び運搬具(主なもの)
 貨物⾃動⾞(ダンプ除く)5年、など
となっています。

よくあるご質問1-31:補助金で取得した施設・設備の担保権を設定は(なりわい再建支援補助金)

なりわい再建⽀援補助⾦で復旧を⾏う施設・設備(処分制限財産)について、その復旧に必要な資⾦調達をするために、復旧対象である当該施設等に担保権の設定を⾏う場合には、必要な⼿続きを経たうえで、⼀定の条件のもと、担保権の設定が認められます。
この場合、復旧工事の自己負担分の範囲以内に限られます。
なお、根抵当権の設定は、原則認められません。

⑨なりわい再建支援補助金の活用に当たって留意すべき事項

2011年の東日本大震災を契機としてスタートした、中小企業グループ補助金さらにその発展形である、なりわい再建支援補助金は、他の経済産業省の補助金と大きく異なって、とても手厚い補助金ですが、補助金額が大きいだけにその申請に当たっては、じっくり検討することが重要です。
特に処分制限期間内の設備の目的外使用や譲渡などは、補助金返還が求められますので留意が必要です。現状復旧に留まらず、長期の経営計画を見通した、生産性向上・新分野需要開拓の検討も重要となります。
また、東北経済産業局が、中小企業グループ補助金を受けた事業者へのフォローアップを調査していますが、経営課題として、1.従業員の確保(56.1%)、2.販路の拡大(53.7%)、3,原材料・資材・仕入等の価格の高騰(27.9%)などを上げています。
従って、地元の他の事業者との共同事業も視野に入れつつ、商工会・商工会議所とよく相談して、また、つなぎ資金をはじめ身近な信用金庫との連携も重要となります。

補助金採択後の課題への対応事例については、東北経済産業局の2023年調査(PDF)を参考にしてください。
https://www.tohoku.meti.go.jp/koho/topics/earthquake/pdf/230706.pdf新しいタブで開く
その他、石川及び富山の被災者の方には、当事務所においても無料メール相談を受け付けていますので、何なりとご相談ください。

よくあるご質問1-28:全損に伴い性能等が向上したものへの買替えを認める事 例がありますか︖(なりわい再建支援補助金)

原状回復に要する費⽤を上限として、原状回復を超える性能向上(※)に資するような機能付加・拡充を図ることも可能です。この場合、実際に⾏う⼯事等とは別に、原状回復⼯事の⾒積書の提出が必要となります。
(※)機械などが仕事をなしうる能⼒が向上すること
例︓需要開拓のための増産体制への対応や利益率向上等を⽬指し、同じ⼈員で毎時 1,000個製造できる設備から毎時1,500個製造できる設備への更新や、毎時の製造個数は変わらないが⼈員が少なくて済むなど、⽣産性向上につながる設備の導⼊などの取組
ただし、原状回復に必要な経費に補助率(3/4以内または1/2以内)を乗じた額が上限です。

よくあるご質問1-29:復旧にあたって新分野への展開や事業転換を⾏うための施設・設備を整備できますか︖(なりわい再建支援補助金)

新分野事業であれば、認められる可能性があります。
①新商品製造ラインへの転換>例︓被災前に製造していなかった商品を新たに製造するために、従前の設備への復旧等に代えて、新たな設備を整備する取組
②従業員確保のための宿舎整備>例︓新分野事業における新たな取組みを⾏うに際して、宿舎整備による従業員確保が必要である場合、被災した従前の施設等の復旧に代えて新たな宿舎整備を⾏う取組
③異業種への展開事例>例︓旅館業を営んでいたが、⾵評被害により観光客が減少し、従前の事業施設の復旧では売上の回復が困難なことから、地域産品を使った商品を開発した上で、その製造を⾏う⼯場を新分野事業として整備することにより、販路拡⼤による売上回復を図る取組

よくあるご質問1-30:処分制限期間の例は(なりわい再建支援補助金)

1.施設(主なもの)
(1)鉄筋コンクリート造事務所50年、店舗39年、⼯場38年
(2)⾦属造(⾻格材4㎜超)事務所38年、店舗34年、⼯場・倉庫20年
(3)⽊造事務所24年、店舗22年、など
2.機械・装置(主なもの)
 ⾷料品製造業⽤設備10年、⾦属製品製造業⽤設備10年、道路貨物運送業⽤設備12年、など
3.⾞両及び運搬具(主なもの)
 貨物⾃動⾞(ダンプ除く)5年、など
となっています。

よくあるご質問1-32:東日本大震災の中小企業グループ補助金の補助金返還の状況

東日本大震災の中小企業グループ補助金では、2022年末までに、11,877件、5341億円が交付決定されていますが、岩手、宮城及び福島の3県で少なくとも575の事業者があわせて27億3000万円余り(3県の交付決定額5018億円の0.5%)の返還を命じられています。(NHK:2024年3月8日より)
宮城県 275事業者 17億5740万円余
福島県 195事業者 6億1563万円余
岩手県 105事業者 3億6567万円余

返還命令の理由(宮城県)
▽施設や設備の譲渡(174件)
▽施設の取り壊し(38件)
▽設備の廃棄(27件)

同放送で報じられた具体的事例は、以下のとおりです。
1.宮城県石巻市の水産加工事業者は、上限いっぱい15億円の補助を受けて、被災から1年半後に工場を再建し、想定より早く事業を再開できたとしています。しかし、求人を募集しても採用難の状況から生産能力の高い設備に代えたいとしていますが、設備の処分制限が制約となっているとしています。
2.津波で全壊した岩手県宮古市旅館事業者は、グループ補助金およそ1億6000万円を活用し、2年後に別の場所で営業を再開しました。
しかし、2016年、台風10号で建物が浸水し、旅館は休業を余儀なくされ、その3年後には、地域を通る第三セクターの「三陸鉄道」が台風被害で5か月にわたって不通になり、その後も復興需要の減少や新型コロナの感染拡大による利用客の減少で、旅館経営も飲食も回復の兆しが見えず、事業の譲渡や介護事業などへの転換も考えたものの、施設の処分制限が制約になっているとのことです。

よくあるご質問1-33:東日本大震災の中小企業グループ補助金フォローアップ調査の概要

東北経済産業局https://www.tohoku.meti.go.jp/koho/topics/earthquake/230706.html新しいタブで開くでは、震災直後の2012年2月から、毎年、中小企業グループ補助金を受けた事業者へのフォローアップを調査しています。
経営課題を調査した、東日本大震災8年後の2019年版第9回調査(コロナ前)によれば、1.従業員の確保(56.1%)、2.販路の拡大(53.7%)、3,原材料・資材・仕入等の価格の高騰(27.9%)、資金繰り(23.5%)などが上げられています。
特に、従業員の確保は、運輸業(83.4%)、建設業(71.3%)で高く、販路の確保・開拓は、卸・小売サービス(56.2%)で高く、原材料・資材・仕入等の価格の高騰は、水産・食品加工(51.2%)で高く、資金繰りは、旅館・ホテル(31.2%)で高くなっています。

参考(PDF):東北経済産業局https://www.tohoku.meti.go.jp/koho/topics/earthquake/pdf/191114_1.pdf新しいタブで開く

▲ページトップへ戻る