<2024年3月に内容を改訂しました>New
業務改善助成金とは
業務改善助成金とは、最低賃金の引き上げに向けた環境整備を図るために、事業場内での最も低い賃金(事業内最低賃金)の引上げを図る中小企業の生産性向上に向けた取り組みを実施した中小事業主に対して助成するものです。
23年度の最低賃金の大幅引き上げを受けて、制度も大幅に拡充されました。
ブログNo.44:24年度の業務改善助成金の運用について、一部変更があります。New
①助成金の趣旨
・事業場内最低賃金から+50円の幅にいる労働者の最低賃金を引き上げるための設備投資等を、引き上げる幅と人数に応じて補助をするための助成金です。
②対象企業
・中小企業(*)のみが対象です。
・但し、日本国内の事業場での所属する労働者が100人以下であること、事業場内最低賃金と地域最低賃金との差額が50円以内であること、が求められます。
よくあるご質問2-1:厚労省の助成金における中小企業とは
中小企業の範囲は、イ.または、ロ.を満たすことが求められます。
イ.資本金の額・出資の総額 | ロ.常時雇用する労働者数 | |
小売業(飲食店を含む) | 5000万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5000万円以下 | 100人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
但し、人材確保等支援助成金(中小企業団体助成コース)における中小企業の範囲は、経済産業省の補助金における中小企業の範囲と同一となります。
よくあるご質問1-8:経済産業省の補助金における中小企業の範囲とは
以下のどちらかを満たすことが対象です。
資本金額 | 従業員数 | |
製造業・ソフトウェア業 | 3億円以下 | 300人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
サービス業 | 5000万円以下 | 100人以下 |
小売業 | 5000万円以下 | 50人以下 |
ゴム製品製造業 | 3億円以下 | 900人以下 |
旅館業 | 5000万円以下 | 200人以下 |
③助成額と助成率
助成額
コース区分 | 事業場内最低賃金の引上げ額 | 引き上げる労働者数 | 助成上限額 | |
右記以外の事業者 | 事業場規模30人未満の事業者 | |||
30円コース | 30円以上 | 1人 | 30万円 | 60万円 |
2~3人 | 50万円 | 90万円 | ||
4~6人 | 70万円 | 100万円 | ||
7人以上 | 100万円 | 120万円 | ||
10人以上* | 120万円 | 130万円 | ||
45円コース | 45円以上 | 1人 | 45万円 | 80万円 |
2~3人 | 70万円 | 110万円 | ||
4~6人 | 100万円 | 140万円 | ||
7人以上 | 150万円 | 160万円 | ||
10人以上* | 180万円 | 180万円 | ||
60円コース | 60円以上 | 1人 | 60万円 | 110万円 |
2~3人 | 90万円 | 160万円 | ||
4~6人 | 150万円 | 190万円 | ||
7人以上 | 230万円 | 230万円 | ||
10人以上* | 300万円 | 300万円 | ||
90円コース | 90円以上 | 1人 | 90万円 | 170万円 |
2~3人 | 150万円 | 240万円 | ||
4~6人 | 270万円 | 290万円 | ||
7人以上 | 450万円 | 450万円 | ||
10人以上* | 600万円 | 600万円 |
助成率
事業場内最低賃金 | 助成率 |
900円未満 | 9/10 |
900円以上950円未満 | 4/5<9/10> |
950円以上 | 3/4<4/5> |
よくあるご質問2-2:生産性要件とは
決算書類に基づく生産性(雇用保険対象労働者一人当たりの付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費+動産・不動産賃借料+租税公課)が助成金の支給申請を行う直近の値が、その3年前(後)に比べ6%以上伸びている場合又は1%以上(6%未満)伸びている場合をいいます。 「1%以上(6%未満)伸びている場合」は、金融機関から一定の「事業性評価」を得ている必要があります。
厚労省の多くの助成金では、これを満たす場合には、助成額・率がアップとなっていましたが、業務改善助成金以外は、23年3月31日で終了となりました。
23年3月31日までに助成金の対象となる取り組みを行ったなどの場合は、経過措置が適用されることがあります。詳細は、改正後の各助成金の支給要領をご確認ください。 人材開発支援助成金など一部の助成金では、賃金の引き上げを行った場合に助成額が加算される賃金要件が新たに設けられています。
④要件
・全ての労働者を新しい事業場内最低賃金以上まで引き上げる必要があります。
・23年度の特例措置として従業員50人未満の事業場の場合は、23年4月1日から12月31日までに賃金引き上げを実施していれば、賃金引き上げ計画の提出は不要となりました!(但し、10月からの各地域の最低賃金引き上げの発効日の前日までに引き上げることが求められます。)
・事業場内最低賃金から50円以内の労働者を、同じ引き上げ幅で引き上げた人数と引き上げ幅で助成上限が決まります。
・但し、申請前3ヶ月から賃金引き上げを行ってから6ヶ月を経過するまでに、当該事業場の労働者を解雇していないことが求められます。
・申請提出の1年前から賃金引き上げ後6ヶ月以内に、労働関係違反が明らか(司法処分等)となった場合も対象となりません。
⑤手続き
手続きフローチャート
- 事業主
- ① 申請書の作成、提出
- 労働局
- 審査、交付決定(1か月程度)
- 事業主
- ② 計画の実施(1~3か月程度)
- 事業主
- ③ 実績報告書の作成、提出(提出期限:計画完了後1か月又は4/10のいずれか早い日)
続く
続きから
- 労働局
- 審査、金額確定(20日程度)
- 事業主
- ④ 請求書の提出
- 労働局
- 助成金の支給
- 事業主
- ⑤ 状況報告の提出
ブログNo.12:業務改善助成金の活用のポイント
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ブログNo.29:2022年度補正予算で、業務改善助成金が大幅に拡充されました。
ブログNo.44:24年度の業務改善助成金の運用について、一部変更があります。