<2024年2月に内容を改訂しました>New

ものづくり補助金とは

ものづくり補助金とは、中小企業の思い切った設備投資を支援する補助金です。

①補助金の趣旨

正式名称は、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」といい、中小企業等による新商品・サービス開発、プロセス改善のための設備投資等を広く支援する通常枠と、海外展開やグリーン化、デジタル化、省力化などの政策課題への対応を支援する特別枠があります。

23年12月27日に公表された17次締切分(24年3月1日締切)は、特別枠の省力化(オーダーメイド)枠のみの公募となっています。
また、24年1月31日に公表された18次締切分(24年3月27日締切)は、②製品・サービス高付加価値枠及び③グローバル枠の公募となっています。
なお、17次締切の公募に応募した事業者は、18次締切の公募には応募できません。

②対象企業

・中小企業(*)
・その他の法人(*)
2022年の第10回公募から、中小企業から中堅企業への成長途上にある企業を「特定事業者」として、対象に追加されました。

よくあるご質問1-8:経済産業省の補助金における中小企業の範囲とは

以下のどちらかを満たすことが対象です。

資本金額従業員数
製造業・ソフトウェア業3億円以下300人以下
卸売業1億円以下100人以下
サービス業5000万円以下100人以下
小売業5000万円以下50人以下
ゴム製品製造業3億円以下900人以下
旅館業5000万円以下200人以下
・ソフトウェア業、ゴム製品製造業、旅館業が、厚生労働省の中小企業の定義と少し異なっています。

よくあるご質問1-2:企業以外の対象法人とは(事業再構築補助金以外)

・収益事業を行い、確定申告を行っているNPO(認定NPO以外で、補助事業について経営力向上計画の認定が求められます)は対象になりますが、社団・財団法人、医療法人、学校法人、農事法人、任意団体、申請時点で開業していない開業予定者(開業届の開業日が申請日よりも後の場合)は、対象になりません。

よくあるご質問1-9:経済産業省の補助金における特定事業者とは(事業再構築補助金以外)

中小企業から中堅企業への成長途上にある特定事業者(以下の両方を満たすことが必要です)

資本金額従業員数
製造業、建設業、運輸業10億円未満500人以下
卸売業400人以下
サービス業、小売業(ソフトウェア、情報処理、旅館を除く)300人以下
その他業種(上記以外)500人以下
資本金額及び従業員数の両方を満たす事業者

③補助率・補助上限

申請類型補助上限補助率
①省力化(オーダーメイド枠)従業員規模により750万円~8000万円
(大幅賃上特例により1000万~1億円)
中小:1/2
小規模・再生事業者:2/3
1500万超の部分はともに1/3
②製品・サービス高付加価値化枠通常類型従業員規模により750万円~1250万円
(大幅賃上特例により850万~2250万円)
中小:1/2
小規模・再生事業者:2/3
新型コロナ加速化特例:2/3
成長分野進出類型(DX,GX)従業員規模により1000万円~2500万円
(大幅賃上特例により1100万~3500万円)
2/3
③グローバル枠3000万円
(大幅賃上特例により3100万~4000万円)
中小:1/2
小規模:2/3
大幅賃上げ特例:補助事業終了後、3~5年で大幅賃上げに取組む事業者に対し、補助上限額を100万~2000万円上乗せする。

また、以下の要件をすべて満たす3~5年の事業計画を策定した場合の「大幅賃上げに係る補助上限の引き上げの特例」(下表)が設けられています。
①給与支給総額*を年率平均1.5%以上増加することに加え、更に年率4.5%(合計で年率6%)以上増加
②事業場内最低賃金を地域別最低賃金+50円以上にすることに加え、年額+50円増額
③応募時に、①及び②の達成に向けた具体的かつ詳細な事業計画公募要領P29(第18次はP38)(5)及び様式4によるもの
*給与支払総額とは、全従業員(非常勤を含む)及び役員に支払った給与等(給料、賃金、賞与及び役員報酬等は含み、福利厚生費、法定福利費や退職金は含みません)です。

補助上限の引き上げ額 
<省力化(オーダーメイド枠)>
従業員規模上乗せ補助額補助率
5人以下250万円以内各申請枠の補助率
6人~20人500万円以内
21人~50人1000万円以内
51人~99人1500万円以内
100人以上2000万円以内
<製品・サービス高付加価値枠、グローバル枠>
従業員規模上乗せ補助額補助率
5人以下100万円以内各申請枠の補助率
6人~20人250万円以内
21人以上1000万円以内

但し、追加要件が未達の場合は、各申請枠の補助上限額との差額分については、補助金の返還が求められます。

④要件

・基本要件:3~5年以内に①付加価値3%/年以上の増加、②給与支払総額1.5%/年以上の増加、③毎年事業内最低賃金が地域別最低賃金よりも30円以上上回ること
・特別枠については、それぞれ要件(*)があります。

よくあるご質問1-10:ものづくり補助金の特別枠の要件とは(24年2月改訂)

①省力化(オーダーメイド)枠
人手不足の解消に向けて、デジタル技術を活用した専用設備(オーダーメイド設備)の導入等により、革新的な生産プロセス・サービスの提供方法の効率化・高度化を図る取組に必要な設備・システム投資等を支援するものです。
デジタル技術を活用した専用設備(オーダーメイド設備)とは、ICTやAI、ロボット、センサー等を活用し、単一もしくは複数の生産工程を自動化するために、外部のシステムインテグレーター(SIer)との連携など通じて、事業者の個々の業務に応じて専用に設計された機械装置やシステム(ロボットシステム等)のことをいいます。(デジタル技術等を活用せず、単に機械装置等を導入する事業は本事業の対象とはなりません)
以下の全てに該当することが求められます。
(1) 3~5年の事業計画期間内に、補助事業において、設備投資前と比較して労働生産性が2倍以上となる事業計画を策定すること。
(2) 3~5年の事業計画期間内に投資回収可能な事業計画を策定すること。
*投資回収年数は「投資額/(削減工数×人件費単価)」とする。
(3) 外部SIerを活用する場合、3~5年の事業画期間内における保守・メンテナンス契約を締結すこととし、SIerは必要な保守・メンテナンス体制を整備すること。
(4) 本事業に係る資金について金融機関から調達を予定している場合は、金融機関による事業計画に確認を受け、金融機関による確認書を提出すること。

②製品・サービス高付加価値枠
(1)3~5年の事業計画期間内に、新製品・サービスの売上高の合計額が、企業全体の10%以上となる事業計画を策定すること
(2)本事業に係る資金について金融機関(ファンドを含む)からの調達を予定している場合は、金融機関による事業計画の確認を受け、確認書の提出ができること
②-1 通常枠型
革新的な製品・サービス開発の取組みに必要な設備・システム投資等を支援します。
②-2 成長分野進出類型(DX/GX)
②-2-1 GX
グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する革新的な製品・サービスであること
令和3年6月18日付「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」
(概要資料) https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/global_warming/ggs/pdf/green_gaiyou.pdf 新しいタブで開く
(本体資料) https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/global_warming/ggs/pdf/green_honbun.pdf 新しいタブで開く
②-2-2 DX
例えば、AI,IoT、センサー、デジタル技術等を活用した遠隔操作や自動制御、プロセスの可視化等の機能を有する製品・サービスの開発(部品・ソフトゥエア開発を含む)であること

③グローバル枠
以下の4つの類型のいずれかの一つの各条件を満たす投資であること
(イ)海外投資類型:国内事業と海外事業の双方を一体的に強化し(国内事業所においても単価50万円以上の機械装置等の取得が求められます)、グローバルな製品・サービスの開発・提供体制を構築することで、国内拠点の生産性を高める投資であること(応募申請時に、海外子会社の事業概要・財務諸表・株主構成が分かる資料の提出が求められます)
(ロ)海外市場開拓(JAPANブランド)類型:国内に補助事業実施場所を有し、製品等の販売先の2分の1以上が海外顧客となり、計画期間の補助事業の売上累計額が補助額を上回る事業計画を有していること(応募申請時に、マーケティング調査に基づく、想定顧客が具体的にわかる海外市場調査報告書の提出が求められます)
(ハ)インバウンド市場開拓類型:国内に補助事業実施場所を有し、サービス等の販売先の2分の1以上が訪日外国人となり、計画期間中の補助事業の売上類型額が補助額を上回る事業計画を有していること(応募申請時に、想定顧客が具体的にわかるインバウンド市場調査報告書の提出が求められます)
(二)海外事業者との共同事業類型:国内に補助事業実施場所を有し、外国法人と行う共同研究・共同事業開発に伴う設備投資等であり、その成果物の権利(の一部)が補助事業者に帰属すること(応募申請時に、共同研究契約書又は業務提携契約書の提出が求められます)

4つの類型共通として、①海外事業に関する実現性可能性調査を実施していること、②社内に海外事業の専門家人材を有すること又は海外事業に関する外部専門家と連携すること、③本事業に係る資金について金融機関(ファンドを含む)からの調達を予定している場合は、金融機関による事業計画の確認を受け、確認書の提出ができること、が求められます。

⑤手続き

・第17回は24年3月1日に応募が締め切られ、第18回以降は24年3月27日に応募が締め切られます。
・GビズIDによる電子申請のみでの申請となります。
・認定経営革新等支援機関や専門家の支援(支援を受けるかは任意ですが、支援を受けている場合は支援者の名称、報酬、契約期間を明記する必要があります)を受けて、A4で10枚以内の事業計画書に関係資料を添付して申請となります。
・採択後交付申請を行い、17次及び18次とも、事業実施期間は、交付決定日後、24年12月10日までとなります(従前と比べて、短くなっている点にご注意下さい)
・完了報告・対象経費のチェックの後、補助金が振り込まれます。

⑥申請内容の審査

・補助対象事業としての適格性、技術面、事業化面、政策面から審査されます。
政長性加点、政策加点、災害等加点、賃上げ加点等があります。
・補助申請額が一定額以上の申請を行う事業者を対象に、オンライン口頭審査(約15分程度)があります。審査は申請事業者自身が対応する必要があり、経営コンサルタント等の同席は認められません。

よくあるご質問1-11:ものづくり補助金の審査の観点とは(24年2月改訂)

ものづくり補助金は、以下の
1.補助対象事業としての適格性
2.技術面
3.事業化面
4.政策面
5.炭素生産性向上の妥当性(グリーン枠のみ)
6.グローバル枠の取組みの妥当性(グローバル枠のみ)
について、審査が行われます。

1. 補助対象事業としての適格性
・3から5年計画で「付加価値額」年率3%以上の増加等を達成する取組であるか、また各特別枠については、それぞれの要件(よくあるご質問1-10:ものづくり補助金の特別枠の要件とは)を満たす取り組みであるか。

2. 技術面
① 新製品・新サービスの革新的な開発となっているか(「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」または「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」に沿った取り組みであるか)。
「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」は、サービス業の9割以上を占める中小企業の皆様に、経営課題を解決する際の参考にしていただくことを期待して、取り組みの方向性や具体的手法等をご紹介するもので、2015年年度に改定されています。
(外部リンク:https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/shinpou/2021/210305shinpou03.pdf 新しいタブで開く
「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」は、ものづくり基盤技術12分野、先端技術を活用した高度サービス分野等の取り組みの方向性について具体的に示したもので、2019年度に改定されています。
(外部リンク:https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/sapoin/shishin.html 新しいタブで開く
② 試作品・サービスモデル等の開発における課題が明確になっているとともに、補助事業の達成度の考え方を明確に設定しているか。
③ 課題の解決方法が明確であり、優位性が見込まれるか。
④ 補助事業実施のための技術的能力が備わっているか。
⑤「省力化(オーダーメイド)枠」のみ
 ⑤-1:システム開発については汎用的に利用できるパッケージシステムを元に、顧客の希望に合わせて機能を追加するなどのカスタマイズを行う開発方式や、システムやソフトウェアをゼロからオーダーメイドで開発する方式がとられているか。
 ⑤-2:人手不足の解消に向けて、デジタル技術を活用した専用設備(オーダーメイド設備)の導入等により、革新的な生産プロセス・サービス提供方法の効率化・高度化を図る取組に必要な設備・システム投資等となっているか。

3. 事業化面
① 補助事業実施のための社内外の体制や最近の財務状況から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか(金融機関等から十分な資金調達が見込まれるか)。
② 事業化に向けて、市場ニーズを考慮するとともに、ユーザー、マーケット及び市場規模が明確か、また、クラウドファンディング等を活用し、そのニーズの有無を検証できているか。
③ 補助事業の成果が価格的・性能的に、優位性や収益性を有し、事業化に至るまでの遂行方法・スケジュールが妥当か。
④ 補助事業としての費用対効果が高いか。

4. 政策面
① 地域の特性を生かして、地域の経済成長をけん引する事業となることが期待できるか(地域未来牽引企業等は審査で考慮されます)。
② ニッチ分野において、グローバル市場でもトップを築く潜在性を有しているか。
③ 異分野や共同連携、事業承継を契機とした取り組みであるか。
④ 先端的なデジタルの活用、低炭素化技術の活用、新しいビジネスモデルの構築等を通じて、我が国のイノベーションをけん引しうるか。
⑤ ウイズコロナ・ポストコロナに向けた経済構造の転換、あるいは、成長と分配の好循環を実現させるために、有効な投資内容となっているか。

5.グローバル枠の取組みの妥当性(グローバル枠のみ。事業計画書を元に審査されます。)
①海外展開などに必要な実施体制や計画が明記されているか。また、グローバル市場開拓に係る専門性を申請者又は外部専門家の関与により有しているか。
②事前の十分な市場調査分析を行った上で、国際競争力の高い製品・サービス開発となっているか。
③国内の地域経済に寄与するものであるか。
④ブランディング・プロモーション等の具体的なマーケティング戦略が議業計画書に含まれているか。

よくあるご質問1-12:ものづくり補助金の加点項目とは(24年1月改訂)

以下のうちから、最大6項目について加点申請が可能です。

① 成長性加点:有効な期間の経営革新計画の承認を取得した事業者

② 政策加点
 -1:「創業・第二創業後間もない事業者(5年以内)」
 -2:「パートナーシップ構築宣言を行っている事業者」
 -3:再生事業者
 -4:DX認定事業者
 -5:令和4年度に健康優良法人に認定された事業者
 -6:J-Start-up(地域版を含む)に認定された事業者
 -7:「新規輸出1万者支援プログラム」に登録した事業者(グローバル市場開拓枠のJAPANブランド類型のみ)
 -8:サイバーセキュリティお助け隊サービスを利用している事業者
 -9:技術情報管理認証制度の認証を取得している事業者
 -10:取引先の事業者がグリーンに係るパートナーシップ構築宣言をしている事業者
 -11:Jクレジット制度を活用している事業者
 -12:GXリーグに参画している事業者
 -13:カーボンフットプリント(CFP)を算定している事業者

③ 災害等加点:有効な期間の事業継続力強化計画の認定を取得した事業者

④ 賃上げ加点:以下のいずれかの事業者
 -1:事業計画期間内に、給与支払総額を年率平均3%以上増加させ、かつ、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+50円以上の水準にする計画を有し、事務局に誓約書を提出している事業者
 -2:給与支払総額を年率平均6%以上増加させ、かつ、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+50円以上の水準にする計画を有し、事務局に誓約書を提出している事業者
 -3:社会保険の適用拡大の対象となる中小企業が制度改革に先立ち任意適用に取り組む場合

⑤ 女性活躍の推進の取組加点
 -1(えるぼし加点):女性活躍促進法に基づく「えるぼし認定」を受けている、又は従業員が100人以下の場合は、「一般事業主行動計画」を公表している事業者
 -2(くるみん加点):次世代法に基づく「くるみん認定」を受けている、又は従業員が100人以下の場合は、「一般事業主行動計画」を公表している事業者

<減点項目>
 応募締切日から3年間に、ものづくり補助金の交付決定を1回受けている場合(過去3年間に、既に2回以上交付決定を受けた事業者は申請対象外となります)
 令和元年度補正予算ものづくり補助金意向に交付決定を受けている場合にであって、収益納付をしていない場合

⑦補助対象経費

・機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産等関連経費、海外旅費、通訳・翻訳費、広告宣伝・販売促進費
・技術導入費及び知的財産等関連経費は、それぞれ補助対象経費(税抜き)の1/3を限度とし、専門家経費及び外注費は、同1/2を限度とします。また、海外旅費及び通訳・翻訳費はグローバル枠の海外市場開拓型のみで認められ、同1/5が限度となり、広告宣伝・販売促進費は、同1/2が限度となります。

⑧終了後の義務

・補助事業の完了したときは、30日後に、「補助事業実績報告書」の提出が必要です。
・また、補助事業の終了後5年間にわたり、毎会計年度終了後60日以内に、本補助事業に係る事業化状況等の報告が必要です
・事業内最低賃金の確認のため、賃金台帳の提出や補助事業関係書類は、事業終了後5年間保存が求められます。
・事業化状況の報告から、本事業の成果の事業化等で収益が得られたと認められる場合は、収益納付が求められます。

外部リンク:https://portal.monodukuri-hojo.jp/

ブログNo.4:ものづくり補助金の過去の採択率等のデータを読み解く(23年2月改訂)
ブログNo.5:ものづくり補助金の活用のポイント
ブログNo.6:第1次から9次までの、ものづくり補助金における、賃上げ加点の活用の状況

ブログNo.26:2022年補正予算で、ものづくり補助金が、使いやすい形で拡充されました。
ブログNo.33:最近のものづくり補助金の申請・採択状況

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