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ものづくり補助金とは

ものづくり補助金とは、中小企業の思い切った設備投資を支援する補助金です。

①補助金の趣旨

正式名称は、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」といい、革新的な新製品・新サービス開発や海外需要開拓を行う事業のために必要な設備投資等に要する経費を補助することで、中小企業者等の生産性向上と経済の活性化を目指す補助金です。

23年12月27日に公表された17次締切分(24年3月1日締切)は、省力化(オーダーメイド)枠のみの公募、24年1月31日に公表された18次締切分(24年3月27日締切)は、製品・サービス高付加価値枠、及びグローバル枠での公募となりました。
また、25年2月14日に公表された19次締切分(25年4月25日締切)から、一部制度改正が行われました。これまで存在した「省力化(オーダーメイド)枠」が省力化投資補助金(一般型)へ移行する形となり、申請枠は「製品・サービス高付加価値化枠(通常枠)」と「グローバル枠」の2つに統一されました。

よくあるご質問1-36:令和7年募集(第19次締切分)からのものづくり補助金の主な変更点とは

令和7年募集(第19次締切分)からのものづくり補助金は、以下の制度改正が行われます。
1.基本要件の見直し
(1) 賃上げ要件の給与支給総額の年平均成長率を1.5%→2.0%へ変更
(2) 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表等(従業員21名以上の場合のみ)を追加

2.補助金額に係る従業員規模区分を見直し、補助金上限額を一部拡充。

3.最低賃金引上げ特例を創設(補助率を2/3に引上げ。小規模、再生事業者を除く)

4.グローバル枠以外での追加要件の削除。

5.新たな審査項目基準の追加。加点・減点項目の変更と追加。

6.これまで必要とされていた収益納付制度の廃止。

7.申請は電子申請システムへの入力により行うこととなり、写真図表などの補足資料は、A4でPDF3枚以内となりました。

②対象企業

・中小企業(*)
・その他の法人(*)
2022年の第10回公募から、中小企業から中堅企業への成長途上にある企業を「特定事業者」として、対象に追加されました。

よくあるご質問1-8:経済産業省の補助金における中小企業の範囲とは

以下のどちらかを満たすことが対象です。

資本金額従業員数
製造業・ソフトウェア業3億円以下300人以下
卸売業1億円以下100人以下
サービス業5000万円以下100人以下
小売業5000万円以下50人以下
ゴム製品製造業3億円以下900人以下
旅館業5000万円以下200人以下
・ソフトウェア業、ゴム製品製造業、旅館業が、厚生労働省の中小企業の定義と少し異なっています。

よくあるご質問1-2:企業以外の対象法人とは(事業再構築補助金以外)

・収益事業を行い、確定申告を行っているNPO(認定NPO以外で、補助事業について経営力向上計画の認定が求められます)は対象になりますが、社団・財団法人、医療法人、学校法人、農事法人、任意団体、申請時点で開業していない開業予定者(開業届の開業日が申請日よりも後の場合)は、対象になりません。

よくあるご質問1-9:経済産業省の補助金における特定事業者とは(事業再構築補助金以外)

中小企業から中堅企業への成長途上にある特定事業者(以下の両方を満たすことが必要です)

資本金額従業員数
製造業、建設業、運輸業10億円未満500人以下
卸売業400人以下
サービス業、小売業(ソフトウェア、情報処理、旅館を除く)300人以下
その他業種(上記以外)500人以下
資本金額及び従業員数の両方を満たす事業者

③補助上限・補助率

-従業員規模製品・サービス高付加価値化枠グローバル枠
補助上限5人以下750万円(850万円)3,000万円(3,100万円)
6~20人1,000万円(1,250万円)(3,250万円)
21~50人1,500万円(2,500万円)(4,000万円)
51人以上2,500万円(3,500万円)
補助率中小企業:1/2 または 2/3※
小規模及び再生事業者:2/3
特例措置(併用不可)大幅賃上げ特例:()内は大幅賃上げ特例を適用した場合。補助事業終了後、3~5年で大幅賃上げに取組む事業者に対し、補助上限額を100万~1000万円引き上げ(詳細後述)
※最低賃金引上げ特例:条件を満たす中小企業の補助率を1/2→2/3に引き上げ(詳細後述)

「大幅賃上げに係る補助上限の引き上げの特例」の適用要件:
①給与支給総額*を年率平均1.5%以上増加することに加え、更に年率4.5%(合計で年率6%)以上増加、かつ
②事業場内最低賃金を地域別最低賃金+50円以上にすることに加え、年額+50円増額すること。
*給与支払総額とは、全従業員(非常勤を含む)及び役員に支払った給与等(給料、賃金、賞与及び役員報酬等は含み、福利厚生費、法定福利費や退職金は含みません)です。

補助上限の引き上げ額:
従業員規模上乗せ補助額
5人以下100万円以内
6人~20人250万円以内
21人以上1000万円以内

但し、追加要件が未達の場合は、各申請枠の補助上限額との差額分については、補助金の返還が求められます。また、以下の「最低賃金引上げ特例」との併用はできません。

「最低賃金引上げに係る補助率引上げの特例」の適用要件:
・2023年10月から2024年9月までの間で3か月以上、事業実施都道府県における最低賃金+50円以内で雇用している従業員が全従業員数の30%以上いること)
適用補助率:1/2→2/3(小規模・再生事業者を除く)

④要件

基本要件:
3~5年以内に
①付加価値3%/年以上の増加、
②給与支払総額2%/年以上の増加、または1人あたり給与支給総額の年平均成長率を事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上の増加、
③毎年事業内最低賃金が地域別最低賃金よりも30円以上上回ること、
④従業員数が21名以上の場合、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表すること。

・申請者自身で設定した目標値を、全ての従業員又は従業員代表者、役員に表明する必要があります。
・「最低賃金引上げ特例」が適用される事業者は基本要件③が適用されません。
・グローバル枠については、基本要件に加えて、追加用件(グローバル要件)があります。

よくあるご質問1-10:ものづくり補助金のグローバル要件とは(25年3月改訂)

ものづくり補助金のグローバル枠を申請する場合、基本要件に加えて、さらに追加要件を満たす必要があります。
グローバル要件
以下の4つのいずれかの事業に該当し、国内の生産性を高めること
(イ)海外への直接投資に関する事業:国内事業と海外事業の双方を一体的に強化し(国内事業所においても単価50万円以上の機械装置等の取得が求められます)、グローバルな製品・サービスの開発・提供体制を構築することで、国内拠点の生産性を高める投資であること(応募申請時に、海外子会社の事業概要・財務諸表・株主構成が分かる資料の提出が求められます)
(ロ)海外市場開拓(輸出)に関する事業:国内に補助事業実施場所を有し、製品等の販売先の2分の1以上が海外顧客となり、計画期間の補助事業の売上累計額が補助額を上回る事業計画を有していること(応募申請時に、マーケティング調査に基づく、想定顧客が具体的にわかる海外市場調査報告書の提出が求められます)
(ハ)インバウンド対応に関する事業:国内に補助事業実施場所を有し、サービス等の販売先の2分の1以上が訪日外国人となり、計画期間中の補助事業の売上類型額が補助額を上回る事業計画を有していること(応募申請時に、想定顧客が具体的にわかるインバウンド市場調査報告書の提出が求められます)
(二)海外企業と共同で行う事業:国内に補助事業実施場所を有し、外国法人と行う共同研究・共同事業開発に伴う設備投資等であり、その成果物の権利(の一部)が補助事業者に帰属すること(応募申請時に、共同研究契約書又は業務提携契約書の提出が求められます)

4つの事業の共通として、①海外事業に関する実現性可能性調査を実施していること、②社内に海外事業の専門家人材を有すること又は海外事業に関する外部専門家と連携すること、③本事業に係る資金について金融機関(ファンドを含む)からの調達を予定している場合は、金融機関による事業計画の確認を受け、確認書の提出ができること、が求められます。

⑤手続き

・第19回は25年4月25日に応募が締め切られます。
・GビズIDによる電子申請のみでの申請となります。
・認定経営革新等支援機関や専門家の支援(支援を受けるかは任意ですが、支援を受けている場合は支援者の名称、報酬、契約期間を明記する必要があります)を受けて、電子申請システムへの入力による申請(補足資料はA4で3枚以内)となります。
・7月下旬の採択発表から2か月以内に、交付申請をします。事業実施期間は交付決定日から原則10ヶ月以内(グローバル枠は12ヶ月以内)となります。
・完了報告・対象経費のチェックの後、補助金が振り込まれます。

⑥申請内容の審査

・補助対象事業としての①適格性、②経営力、③事業性、④実現可能性、⑤政策面、⑥大幅な賃上げに取り組むための事業計画の妥当性(大幅賃上げ特例適用申請者のみ)から審査され、またいくつかの加点項目、減点項目があります。
・補助申請額が一定額以上の申請を行う事業者を対象に、オンライン口頭審査(約30分程度)があります。審査は申請事業者自身が対応する必要があり、経営コンサルタント等の同席は認められません。

よくあるご質問1-11:ものづくり補助金の審査の観点とは(25年3月改訂)

ものづくり補助金は、以下の6点について、審査が行われます。
1. 補助対象事業としての適格性
・公募要領に記載の、対象者、対象事業、対象要件等を満たしているか

2. 経営力
①経営目標に具体性があるか
② 外部・内部環境の分析を踏まえた事業戦略が策定されているか
③当該事業戦略中の本事業が効果的に組み込まれているか
④会社全体に対する本事業の売上高が高い水準となるか

3. 事業性
①付加価値創出や賃上げに高い目標値が設定され、その実現可能性は高いか
②課題や目標が明確化されているか
③市場の規模や動向を分析しているか
④当該市場に成長見込みがあるか
⑤当該事業が顧客に与える価値は何か
⑥顧客ターゲットが明確か
⑦顧客のニーズ調査・検証をしているか
⑧当該事業により提供される製品やサービスが顧客から選ばれる理由を理解しているか
⑨競合する他社製品・サービスや代替製品・サービスの分析をしているか、それに対する本事業の製品・サービスが差別化され優位性があるか
(以下グローバル枠のみ)
⑩海外展開等に必要な実施体制の計画が明記されているか
⑪海外事業に係る専門性があるか
⑫市場調査分析をしているか
⑬国内の地域経済への寄与するものであるか
⑭国内での新たな需要や雇用の創出等につながる将来性があるか
⑮ブランディング・プロモーション等のマーケティング戦略に具体性があるか

4.実現可能性
①技術力があるか
②競合他社と比較した際に優位性があるか
③体制や財務状況に問題はないか
④金融機関等からの十分な支援見込みがあるか
⑤事業化までの遂行方法や課題の解決方法は妥当か
⑥費用対効果が高いか

5.政策面
①地域経済への波及効果があるか
②地域の経済成長を牽引できるか
③ニッチトップとなる潜在性があるか
④イノベーション性があるか(先進的なデジタル技術、低炭素技術等を活用しているか)
⑤事業環境の変化に対応できる投資内容となっているか
⑥成長と分配の好循環を実現できる投資内容となっているか

6.大幅な賃上げに取り組むための事業計画の妥当性(大幅賃上げ特例適用申請者のみ):
①賃上げ計画の内容に具体性がありその根拠が妥当か
②継続性、企業成長の見込みがあるか
③適切な人材育成、人事評価に取り組んでいるか
④体制面、営業面の強化に取り組んでいるか

よくあるご質問1-12:ものづくり補助金の加点項目とは(25年3月改訂)

以下のうちから、最大6項目について加点申請が可能です。

① 申請締切日時点で有効な「経営革新計画」の承認を取得している事業者。
② 「パートナーシップ構築宣言ポータルサイト」において宣言を公表している事業者(応募締切日前日時点)。
③ 再生事業者
④ 申請締切日時点で有効な「DX 認定」を取得している事業者。
⑤ 「健康経営優良法人 2025」に認定された事業者。(3 月頃認定予定)
⑥ 申請締切日時点で有効な「技術情報管理認証」を取得している事業者。
⑦ 「J-Startup」「J-Startup 地域版」に認定された事業者
⑧ 「新規輸出 1 万者支援プログラムポータルサイト」において登録が完了している事業者(グローバル枠に申請する場合のみ)。
⑨ 申請締切日時点で有効な「(連携)事業継続力強化計画」を取得している事業者。
⑩ 賃上げ :補助事業終了後 3~5年の事業計画期間において、従業員及び役員の給与支給総額の年平均成長率を 4.0%以上増加、並びに事業所内最低賃金を毎年3月、地域別最低賃金より+40 円以上の水準を満たす目標値を設定し、設定した目標値を交付決定までに全ての従業員又は従業員代表者、役員に対して表明している事業者。
⑪ 従業員規模 50 名以下の中小企業が被用者保険の任意適用(短時間労働者を被用者保険に加入させること)に取り組む場合。
⑫ 「えるぼし認定」を取得している事業者
⑬ 「くるみん認定」を取得している事業者
⑭ 事業承継/M&A :申請締切日を起点にして、過去 3 年以内に事業承継(株式譲渡等)により有機的一体としての経営資源(設備、従業員、顧客等)を引き継いだ事業者。※ なお、事業承継は、株式譲渡、事業譲渡、あるいは相続・贈与により承継した場合、又は同一法人内で代表者交代したものに限る。
⑮ 申請締切日時点において、中小企業庁「成長加速マッチングサービス」で会員登録を行い、挑戦課題を登録している事業者。

<減点項目>
① 補助金複数回利用者 :申請締切日を起点にして、過去 3 年間に本補助金の交付決定を 1 回受けている事業者。
② 補助要件未達事業者 :本補助金の第 1 次公募以降、交付決定を受けて事業を実施したものの基本要件を達成できなかった事業者(対象となる基本要件は給与支給総額増加要件、最低賃金水準要件とする)。
③ 加点項目要件未達事業者 :中小企業庁が所管する補助金において、賃上げに関する加点を受けたうえで採択されたにもかかわらず、申請した加点項目要件を達成できなかった場合は、事業化状況報告において未達が報告されてから 18 か月の間、中小企業庁が所管する補助金への申請にあたっては、正当な理由が認められない限り大幅に減点。

⑦補助対象経費

・機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産等関連経費、海外旅費、通訳・翻訳費、広告宣伝・販売促進費
・技術導入費及び知的財産等関連経費は、それぞれ補助対象経費(税抜き)の1/3を限度とし、専門家経費及び外注費は、同1/2を限度とします。また、海外旅費及び通訳・翻訳費はグローバル枠の海外市場開拓型のみで認められ、同1/5が限度となり、広告宣伝・販売促進費は、同1/2が限度となります。

⑧終了後の義務

・補助事業の完了したときは、30日後に、「補助事業実績報告書」の提出が必要です。
・また、補助事業の終了後5年間にわたり、毎会計年度終了後60日以内に、本補助事業に係る事業化状況等の報告が必要です
・事業内最低賃金の確認のため、賃金台帳の提出や補助事業関係書類は、事業終了後5年間保存が求められます。

外部リンク:https://portal.monodukuri-hojo.jp/

ブログNo.4:ものづくり補助金の過去の採択率等のデータを読み解く(23年2月改訂)
ブログNo.5:ものづくり補助金の活用のポイント
ブログNo.6:第1次から9次までの、ものづくり補助金における、賃上げ加点の活用の状況

ブログNo.26:2022年補正予算で、ものづくり補助金が、使いやすい形で拡充されました。
ブログNo.33:最近のものづくり補助金の申請・採択状況

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