ブログNo.26:2022年補正予算で、ものづくり補助金が、使いやすい形で拡充されました。

ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス補助金)は、2019年度までは、毎年の補正予算に計上されるという形態のために、「3月公募、6月採択、12月補助事業終了」というスケジュールで、実質6か月しかない補助事業期間の短さが欠点となっていましたが、2020年度以降は、中小企業基盤整備機構の交付金事業となり、機構の事業計画期間内であれば、年度をまたいで、また、年度内複数回公募も可能な形で実施されてきました。

しかし、2022年度がこの交付金事業計画の終了年度であるため、22年度補正事業がまた使いづらい形になるのではと危惧されていました。当初、中小企業庁は、交付金ではなく、基金として機構に計上することで、この問題を解決しようとしましたが、財務省と折り合いがつかず、最終的には、国庫債務負担行為という制度を活用することで、年度をまたぐ、かつ、年度内複数回公募も可能となりました。

この国庫債務負担行為とは、公共事業などでよく用いられる手法で、複数年度にわたる予算の確保を政府として決定するもので、いわば予算単年度主義の例外です。

ものづくり補助金をはじめとする生産性革命推進事業の予算規模は2000億円で、かつ、これとは別に2024年度までの分を国庫債務負担行為で担保しており、その分を含めると総額4000億円に上ります。

締め切りが複数回あるため、自社にとって使いやすいタイミングで申請することができます。

また、事業終了後3~5年に事業場内最低賃金を年45円以上引き上げるなどすれば、一部の枠を除き、補助上限を最大1000万円引き上げられます。

総括表は、以下のとおりですが、個別に概説すれば以下のとおりです。

類型補助上限補助率
通常枠750~1250万円1/2、2/3(小規模・再生事業者)
回復賃上げ・雇用拡大枠2/3
デジタル枠
グリーン枠エントリー(750~1250万円)
スタンダード(1000~2000万円)
アドバンス(2000~4000万円)
グローバル市場開拓枠3000万円1/2、2/3(小規模・再生事業者)

1.通常枠
新製品・新サービス開発・⽣産プロセスの改善に必要な設備投資及び試作開発を支援する類型です。補助上限は、750万円~1250万円。補助率は1/2ですが、小規模・再⽣事業者なら2/3となります。

2.回復型賃上げ・雇用拡大枠
業況が厳しい事業者(前年度の事業年度の課税所得がゼロ)が賃上げ・雇用拡大に取り組むための革新的な製品・サービス開発または⽣産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資等を支援する類型です。
補助上限は750万円~1250万円で、補助率は2/3です。

3.デジタル枠
DXに資する革新的な製品・サービス開発または⽣産プロセス・サービス提供方法の改善による⽣産性向上に必要な設備・システム投資等を支援する類型です。
補助上限は750万円~1250万円で、補助率は2/3です。

4.グリーン枠
温室効果ガスの排出削減に資する取組に応じ、革新的な製品・サービス開発または炭素⽣産性向上を伴う⽣産プロセス・サービス提供方法の改善による⽣産性向上に必要な設備・システム投資等を支援する類型です。幅広い省エネニーズを取り込もうと、3段階設定されています。

5.グローバル市場開拓枠
海外事業の拡大などを目的とした設備投資支援類型とともに、今回から海外市場開拓(JAPANブランド)類型が追加され、海外展開に係るブランディング・プロモーションなどの経費も支援することができます。
補助上限は3000万円で、補助率は1/2、小規模・再⽣事業者の場合は2/3です。
JAPANブランド類型は、従来から、年一回の公募ではなく、複数回実施が求められてきた要望に対応して、生産性革命事業の中に設定されたもので、構造的な円安下で、積極的活用が期待されます。

年度末の3月には、今回の22年度補正予算分の公募が始まりますが、年明けから、公募要項が発表になりますので、お関心の方は中小企業庁のミラサポなどの適宜チェックが必要となります。

関連ページ:
ものづくり補助金

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