ブログNo.25:2022年度補正予算で、事業再構築補助金が抜本拡充されました。
12月2日、2022年度補正予算が成立しました。今回の補正予算では、コロナ禍・ウクライナ危機に対応した中小企業対策として、1.1兆円が計上されていますが、その中の大きなウエイトを占めるのが、事業再構築補助金5800億円です。
コロナ禍を背景として2年前にスタートした事業再構築補助金は、現在(23年1月13日まで)第8回目の公募がなされていますが、今回の補正予算分は、本年度末から第1回公募が受け付けられ、来年度にあと2回公募がなされる見込みです。
しかも、内容的にも、業況が厳しい企業向けの支援だけでなく、下表のとおり、成長分野への転換の支援策が大幅に拡充されています。
類型 | 最低賃金枠 | 物価高騰対策・回復再生応援枠 | 産業構造転換枠 | 成長枠 | グリーン成長枠 | サプライチェーン強靭化枠 | |
エントリー | スタンダード | ||||||
補助上限 | 最大1500万円 | 最大3000万円 | 最大7000万円 | 最大7000万円 | 8000万円(中堅1億円) | 1億円(中堅1.5億円) | 5億円 |
補助率 | 3/4 | 3/4(一部2/3) | 2/3 | 1/2(大規模賃上げ達成で2/3) | 1/2 |
業況が厳しい事業者向け:売上10%減少などが要件 |
成長分野へのチャレンジ事業者向け:売上減少要件が撤廃されます。 かつ、大規模賃上げ(事業場内最低賃金を45円以上引き上げ)で上限を3000万円上乗せ。また、中小企業からの卒業で補助上限が2倍に引き上げられます。 |
主な変更点は以下のとおりです。
1.物価高騰対策・回復再生応援枠を創設
新型コロナの影響や物価高騰などで厳しい状況にある事業者や事業再生に取り組む事業者の事業再構築の支援のため、従来の「回復・再生応援枠」を再編し「物価高騰対策・回復再生応援枠」を設けられました。
補助率が高いのが特徴で、補助率は中小企業で3/4(一部2/3)、中堅企業で1/2(2/3)となります。補助上限は1000万~3000万円と従業員規模で変わります。
2.産業構造転換枠を創設
国内市場の縮小等の産業構造の変化などで市場規模が10%以上縮小する業種・業態からの転換を支援する「産業構造転換枠」を創設されました。補助率は中小企業で2/3、中堅企業1/2です。
補助上限は、補助上限は2000万~7000万円と従業員規模で変わります。廃業を伴う場合は2000万円上乗せするとされています。
3.成長枠を創設 通常枠を再編
従来の「通常枠」の代わりに、売上高減少要件を撤廃され、市場規模が10%以上拡大する業種・業態への転換を支援する「成長枠」を創設されています。
補助率は中小企業で1/2、中堅企業で1/3ですが、補助事業期間内に事業場内最低賃金を年45円引き上げた場合、補助率を中小2/3、中堅1/2に引上げます。補助上限は2000万~7000万円と従業員規模で変わります。中堅・大企業へ成長する事業者には補助上限が2倍となる上乗せもあります。
4.グリーン成長枠の一部要件緩和 上乗せ支援も
「グリーン成長枠」とは、研究開発・技術開発または人材育成を行いながら、グリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題の解決に資する取組を行う事業者を支援する特別枠です。
今回、研究開発等の要件を2年から1年に短縮した「エントリークラス」を新設され、より取り組みやすくするなど要件を一部緩和する予定です。
補助率は中小企業で1/2、中堅企業で1/3ですが、補助事業期間内に事業場内最低賃金を年45円引き上げた場合、中小企業で2/3、中堅企業1/2に引き上げるほか、事業終了後3~5年で同水準を達成すれば補助上限額を3000万円上乗せします。
このほか、事業終了後3~5年で中小・中堅企業から中堅・大企業へ卒業した場合に上限が2倍となる上乗せもあります。
このグリーン枠は、従来から売上減少要件がなく、事業再構築補助金を過去受けた事業者の再度の応募も可能となっていましたが、これらの条件も維持されるほか、今回新設の特別枠にも、このような扱いができるか検討中のようです。
5.サプライチェーン強靱化枠を創設
海外で製造する部品などの国内回帰を進め、国内サプライチェーンの強靱化及び地域産業の活性化に資する取組を行う事業者を支援する「サプライチェーン強靱化枠」を創設します。 補助率は中小企業で1/2、中堅企業で1/3で、補助上限はなんと5億円と超大になっています。
年度末の3月には、今回の22年度補正予算分の公募が始まりますが、年明けから、公募要項が発表になりますので、お関心の方は中小企業庁のミラサポなどの適宜チェックが必要となります。